さあ、うまいお酒を呑もう
最初に断っておかなければならない。
お酒の主成分であるアルコール、正しくはエタノールは体によくないということである。
さすがに毒とまでは言わないが、ほとんど毒であることは否めない。
毒ではあるが、普通は、それを飲んでもすぐに死ぬことはないのである。
だから安心して呑める毒なのである。それが暗黙の了解事項である。
つまりお酒を呑むことの危険負担(損害の負担)は呑み手が負うということである。
その自覚があるのなら、そして、よろしかったらお酒をどうぞということなのである。
女、子供には勧めないというのが日本の常識である。
女の人なら女を捨てたときに、お子達〈おこたち〉は大人になってからにすることである。
お酒を呑まなくても死ぬようなことはないから、無理してまで呑むことはないのである。
庵主などはアルコールに弱いから量は呑まないのである。ちょっとだけ味わうのである。
日本酒には日本人の洗練された感覚と物造りの技が満ちあふれている。
その美しさを口にするのがここちよいである。楽しいのである。うまいのである。
お酒を呑んでもうまいと思ったことがないという人がいる。
そりゃそうだろう。それは本当にうまいお酒に出会ったことがないからなのである。