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ゆっくり呑もうよ

日本酒のうまさに気付いたら
つぎからつぎにうまいお酒が呑みたくなる。
「越乃寒梅」も呑みたいし、
その「雪中梅」も呑んでみたい。

「久保田」である。
「十四代」である。
うまいとされているお酒は
とりあえず口にしてみたいのである。

「二左衛門」も「石田屋」も
「波瀬正吉」も「中三郎」も「農口尚彦」も呑んでみたい。
東京では
酒販店や酒亭を探せばそのお酒があるからやめられなくなる。

お酒がわかっている居酒屋なら
酒祭りに揃えているお酒も気がきいているから
「田酒」だ「飛露喜」だ「天の戸」だ「南部美人」だと
並んでいるお酒を一通り呑みたくなる。

それだけの魅力が日本酒のうまさにはあるからである。
「由利正宗」のうまさに快哉を叫ぶ。
「奥播磨」の厚みのある味わいに納得する。
「開運」のうまさに膝をうつのである。

とにかく、
呑んだことのないお酒は
どんどん呑みたい。
いっぱい呑んでみたい。

と、呑んでも呑んでも
いくらでもうまいお酒が出てくるのが日本酒の世界である。
日本酒は深いのである。
はっきりいってきりがない。

そして、あれも呑みたいこれも呑みたいと
急いで沢山呑んでも、
逆にいいお酒をあせらずに呑んでも
いきつくところはさほど変わらないように思うというのが庵主の今の感懐である。

ということも
庵主がかなりの種類のお酒を呑み続けたから言えることであって、
その思いを実感するためにも
やっぱりいろいろなお酒を呑むということは必要なのである。

結論を聞かされても
それは同じような経験を重ねないとわからないことなのである。
無駄な時間とかしなくてもいい努力があって
それは初めてわかることなのである。

思い至った結論が成果なのではなく、
その間の一見無駄と見える営為こそが
実は成果であるということなのである。
お酒でいえば呑み続けるということ自体が酒を呑むことの意義なのである。

とはいえ、ゆっくりお酒を呑もうよと庵主は思う、今は。
お酒は1+1が2になる世界ではない。
いっぺんに呑んだときには
呑めば呑むほど一つひとつのお酒は小さくなる。

一つのお酒をじっくり味わいたいと思うのだ。
一つのお酒がもっている魅力を味わいたいと思うのだ。
一つのお酒との出会いを味わいつくしたいと思うのだ。
だからゆっくり呑もうよ。
by munojiya | 2005-06-20 23:16 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya