人気ブログランキング | 話題のタグを見る

091004 いかがなものか

イヤミな言葉遣いの代表が「いかがなものか」である。
お前さんの考えていることは間違っていませんかという婉曲な表現ではあるが、
しかして、その心は、そんなことを考えるお前は物事が分からない馬鹿だ、である。
俺の方がずっと利口だという自惚れと優越感の顕示である。政治家が好んで使う。

さらに輪をかけた言葉遣いがある。
映画のセリフである。さすがに映画屋さんの皮肉はキツイ。
例えば「親にとっては宝物のような子供でも、他人が見ればただの餓鬼」というが可笑しい。
出典は忘れたが舶来映画のセリフだったと思う。和田誠が書いていたと記憶している。

国産映画はさらに洗練されてキツイのである。
「無想正宗、私にはどうにも好きになれませんな」
説明が必要である。映画「眠狂四郎」である。気障なセリフ満載の星川清司の脚本である。
無想正宗は眠狂四郎の佩刀である。刀研ぎに出したときに、研ぎ師がいうセリフである。

この刀には血の匂いがする。おだやかな刀ではない。品格に欠けているというのである。
真っ当な人間が手にする持ち物ではないというイヤミである皮肉である、見識である。
「平山、東山先生。私にはどうにも好きになれませんな。コンニャクで釘を打つような絵は」
「むらさめ正宗。庵主にはどうにも好きになれませんな」。そういうお酒もまたいいのであるが。

-----

星川清司の気障なセリフと書いたが、その淵源は引用元によるとダンディなのである。

by munojiya | 2009-10-04 01:17 | 酒の肴 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya