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091011 ひやおろし

ひやおろしというのは、冬に造られて一度火入れしてから熟成させていたお酒が夏を越して、
気温が下がったころに二度目の火入れをしないで出荷されるお酒のことである。
うまくなりはじめたお酒というわけである。味わいの面から秋上がりと呼ぶこともある。
ただ、多くは、期待に反してさほどうまくはないのである。期待しすぎてしまうからである。

庵主が、新酒とひやおろしに興味がない理由がそれである。
いづれも季節のお酒として口にするだけである。
ホジョレー・ヌーボーの馬鹿騒ぎと同じノリで呑むお酒である。寿ぐがそれほどでもない。
とはいえ、酒屋の売場にひやおろしが並ぶとやっぱり気にかかるのである。

ひょっとして、うまい酒があるかもしれないとつい心はゆれるのである。
10月も中旬にはいったこの時分は、ひやおろしが出始めてから小一か月を過ぎている。
百貨店の試飲販売で、うまいのは分かっているから呑まなくてもいいと思っている
「龍力〈たつりき〉」の、「神力〈しんりき〉のひやおろし」を一口呑んでゆれてしまった。

期待に反してうまいのである。変な言い方をしてしまった。
心に描いていた美味さを越えて美味いのである。いや、想像をはみ出た美味さなのである。
口に含んだ時のその爽やかな香りは別嬪である。まろやかな酒質が舌をくすぐる。うまー。
これを呑んでひやおろしなんかどうでもいいやという気持が吹っ飛んでしまったのである。
by munojiya | 2009-10-11 09:11 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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