091201 いっちゃあいけないことだが
才能がほとばしるままに作られたものが気持ちいいのである。
いや、それは逆かもしれない。
努力の跡が見えるとか、無理を感じるというのは才能が足りないということなのだろう。
そういう努力とか苦労の跡を感じさせないことが才能があるということなのだろう。
完璧な作品、というより、ケチのつけるところがない作品もあるのである。
よくできている作品である。しかし、工業製品ならそれは褒められるが、
人の心を動かす世界では完璧ということは物足りないということなのである。
その技術の高さを認めながらも、なにか違っているという不満が残るからである。
「うまい」お酒がそれである。いいお酒を呑んでいるという満足感はある。
その精神性の高さはちゃんと感じるのである。その美しさも分かる。
なのになぜかさみしいものが残るのである。それはなにか。
自分がそれに参加できないさびしさなのである。
明かに自分の上をいっているものに対する敬服と同時に感じる一言いえない哀しさである。
それを見たり聞いたり呑んだりする人を拒否する作品だからである。つまらないのである。
「うめぇ」お酒とか、「うまー」と感じるお酒は庵主を拒まない楽しいお酒なのである。