091201 男は甘い物を食ってはいけない
男は甘いものを食ってはいけないというのである。
それは気風というよりは、甘いもの、すなわち砂糖が貴重だったころの名残だろう。
さらにその昔は、砂糖が薬として使われていたこともあるという。
砂糖は高かったから、そんなものをぱくぱく食べたのでは家計がもたなかったからである。
庵主はその甘いものが好きなのである。
もっとも、お酒同様、量はいらない。
甘いものをちょっとだけ味わいたいのである。一瞬の甘さの悦楽に賭けるのである。
ただ甘いだけの、べた甘の甘さではなく、その甘さには技が感じられなくてはならない。
そうでないとつまらないからである。
砂糖の甘さは分かりやすいのだが、直接的な甘さなので、それをなめてもつまらない。
味の素をそのままなめても美味くないのと同じである。
砂糖は味の素のように隠し味として使うものである。砂糖が見えてはいけないのである。
甘すぎないのに、やっぱり甘い、甘いとは感じないのにあまさがあるという切なさがいい。
すなわち、品のいい甘さを庵主は味わいたいのである。
そういう甘さの最高峰は、じつはお酒の甘さにあるのである。心がとろける甘さが、である。