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091212 純粋は人の心を打たないということ

西洋人は分析を極めて真理に迫ろうという指向性がある。部分に美を求めるのである。
ビタミンが体にいいのではないかと気付いたら、純粋なそれを抽出して服用する。
理屈からいえば、栄養の神髄だからそれを飲めば体にいいように思えるのであるが、
しかし、それを酒の世界でやったら、純粋アルコールはちっともうまくないのである。

日本人の感覚は、純粋を美としないのである。総体の均衡に美を見出すのである。
純粋は、心に叶わないからである。
それをつまらないと感じるということである。
色がそうである。日本人は原色を好まない。馬鹿にする。忌避する。綺麗だね、ですます。

日本人が美しいと感じるのは渋い色なのである。美は濁りの中にあるからである。
音〈おと〉でいえぱ、雑音とされる濁りの部分に美を感じるということである。
美というのは安心感のことである。安定感のことである。不自然でないことである。
ヨーロッパの音楽は純音を表現する方向に走っているが、日本ではそれは流行らない。

頭のてっぺんから出る声といって笑うのである。いや、からかうのである。若いねぇである。
お酒もそうである。綺麗すぎるお酒はつまらないのである。それを味がないという。
若い造り手は造りを極めようとして綺麗すぎるお酒を造ってしまうのである。貶しようがない。
そういうお酒を呑んでも、庵主は面白いとは思わないのである。過ぎたるは、である。
by munojiya | 2009-12-12 00:16 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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