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100104 燗の勘

「開運〈かいうん〉」の「無濾過純米生酒」である。
このお酒は、実は、燗を付けると めちゃくちゃ うまくなるお酒なのである。
はっきりいって、多くの酒は癇をつけてもうまくならない。
お酒があったかくなるから心は温もるが、しかし、それが必ずしもうまくはないのである。

一昔前の注意書きにこういうのがあった。
大吟醸は癇をつけてはいけません、というものである。
そのころの大吟醸は吟醸香〈ぎんじょうか。ぎんじょうこう、と読む人もいる〉が命だった。
燗をつけるとその香りが飛んでしまい、せっかくの取り柄がダメになることが多かった。

でも、本当にいいお酒は、燗をつけても味わいが損なわれないものである。
最近の大吟醸は十分燗に耐えるものが少なくない。むしろぬる燗で味が膨らむのである。
冷やして出てきたお酒は所詮は化粧酒である。見目はよくても色気がない。
燗酒には色気があるのである。だからうまい。いや、うまいこともある。

燗をつけて化粧が剥げる場合もあるから、お酒は相手に合わせて呑む温度を選ぶのである。
「開運」の「無濾過純米」は、ぜひぬる燗で味わっていただきたい。ぬる燗である。
温度を上げすぎると、折角の味が透き通ってしまう。陰影が消えてしまうからである。
お酒の旨さはその欠点というか難点というか、癖にある。その癖が飛んでしまうのである。
by munojiya | 2010-01-04 01:39 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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