人気ブログランキング | 話題のタグを見る

2010-05-22 物は要らないが物はほしい

昔は、持ち物が増えることが幸福だった。
今は、物〈ぶつ〉が増えると置き場所に困るようになったのである。
折角買ったものがゴミ同様に始末に困るようになるほど豊かになったからである。
置き場所に困る物(有形物)はいらないが、心に叶う物〈もの〉は欲しいのである。

いち早く、音楽がその環境を克服してしまった。
音楽はデーターだと割り切って、必要なときに楽音が聴ければそれで十分ということで、
データー配信の仕組みを作り上げてしまったのである。聴きたい時が即うまい時である。
昔は音楽は自分〈こっち〉の手元にあったが、今はその都度あっちの倉庫から取り寄せる。

で、普及品のお酒は真っ当なお酒のうまさには敵わないように、音楽も同様なのであるが、
それでも気にさえしなければ日常的には十分実用的なのである。本もまたそれと同じである。
庵主のように紙、活字、印刷、装丁に拘らなければ文字情報だけでも役には立つのである。
音楽や、お酒や、書籍に香りを求めさえしなければ、それでも十分実用的なのである。

で、香りのない物〈ぶつ〉なんて、手にする価値があるのかということである。
満腹感と満足感は違う。おなかはいっぱいになっても何か物足りないということがある。
虚しいというのは、心の中にそういう香りが残らないことをいうのである。
いいお酒、いやうまいお酒こそは、その香りが心ゆくまで味わえる世界なのである。
by munojiya | 2010-05-22 00:27 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya