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2010-09-03 嫡流のお酒

血筋が確かなことを嫡〈ちゃく〉という。
出自が不確かなことを庶〈しょ〉と呼ぶ。
同じ男が外の女で作った子供は庶子であるが、側室に産ませた子供は嫡子である。
梨園では外で作ってもそれが男の子なら嫡流である。

嫡だろうと庶だろうと、人間の血筋を引いているのだから同じようなものだけど、
人は生まれた子に貴賤を見てしまうのである。
貴賤の基準は美意識である。美意識の由来は他愛ない優越感なのかもしれない。
美意識こそ差別の根源であると、庵主がいう所以〈ゆえん〉である。

国産の米、その土地の水、伝統の技で醸したお酒を嫡とするならば、
外国から輸入した安価な醸造アルコールを混ぜた酒は庶の酒だろう。
アル添のお酒も、見た目は嫡のお酒と変わらないのである。
なのに、いかがわしさがぬぐえないから困るのである。美意識によるのである。

貴種流離譚〈きしゅりゅうりたん〉という言葉がある。それを貴種と呼ぶのである。
貴種であっても、頼りないものをルーピーと呼ぶようになった。お酒にもよくあるのである。
ルーピーなお酒よりも、うまいと感じるアル添酒の方が増しなことはいうまでもない。
とはいえ真っ当なお酒のうまさを知ったら庶の酒などはどうでもよくなってしまうのである。
by munojiya | 2010-09-03 00:34 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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