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2010-10-27 それは逆 アルコール依存症(2/2)

息子がアルコール依存症になって困っているという母親の人生相談を聞いた。
庵主の視線は、当然、その依存症患者をどうすればいいのかという方向を見ていた。
ところが、アルコール依存症の問題の核心は、それを取り巻く家族の問題なのである。
依存症の患者はすでに狂っているのだからなにも困ってはいないのである。

本当に困っているのはその回りの人達の方なのである。患者とどう付き合うかなのである。
アルコール依存症の治療とは、患者の回りにいる人達の苦労困憊を取り除くことだったのだ。
その息子を生んだ母親の苦悩は、別のところにあった。
実はその父親も酒乱だったという。息子の依存症は遺伝なのではないかという不安である。

そんな子供を生んだ私が悪いのではないかと気に病んでいるのである。
カウンセラーは、それを見抜いていたのである。
この人生相談は、息子の問題ではなく、母親の気持の問題なのだということを。
まさに、本ブログの「それは逆」シリーズの一実例ではないか。

庵主などはおっちょこちょいだから、その気違い息子を処分したら万事解決じゃないか、
と簡単に考えていたのだが、そうは問屋がおろさなかった。
それでは母親に心の傷がずっと残る。アルコール依存症は恐い。人の心の奥を暴くから。
アルコールが飲める体質の人は「地獄」を背負って生まれてきた人なのである。可哀相。

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ホスピスというのがある。すでに余命が予告されている患者の治療をする病院である。
庵主はてっきりその患者が穏やかに死んでいくのを支援するものだと思っていたが、
実はその患者を見送る家族の心をあらかじめ癒すケア(療養)の方が比重は大きいという。
残される家族の心構えを養うことに力が注がれるという。療養の7割方が家族対策なのだと。

by munojiya | 2010-10-27 01:17 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

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