人気ブログランキング | 話題のタグを見る

2010-11-07 日曜日のくつろぎ篇 庵という生き方

自閉症という「病状」がある。
その患者は、端〈はた〉から見れば社会性を持ち合わせていない欠陥人間とされる。
しかし、その個人の中では案外安定した世界の中で生きているのではないだろうか。
多くの人が己〈おのれ〉の心を悩ませているのはその社会性故なのである。

他人との比較によって劣等感を味わい、逆に優越感に苛まされているのである。
もっとも、自閉症は社会性が欠如している故に、そのままでは生きていけない。
買物という社会性がないから放置しておくと餓死してしまうこと必至だから迷惑なのである。
その手の欠陥生命は「自然」に任せておけばいいのだが、そこで人は突然神になるのである。

自立できない生命はそれまでなのだが、神に代わってそれに無理を加えようとするのである。
それを「親切」というべきなのか、「善意」といっていいのか庵主は判断に戸惑うのである。
引導を渡すという。慈悲とはそれを行なうことである。無慈悲とはそれをしないことである。
日本人の心情には庵という狭い範囲に生活を限定して心の安静を得るという生き方がある。

庵というのは、立って半畳、寝て一畳の世界である。物に執着しない質素な生き方である。
広く世界に目を向けることもあえてしない。自分が生きる分には何も関係がないからである。
他人の心配を、自分が代わってしてあげることは余計なお節介になるからである。
日本人には、小さな庵でうまいお酒を嗜むという至福の生き方があるということである。
by munojiya | 2010-11-07 00:32 | 日曜日のくつろぎ篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya