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2011-01-29 古酒有情

製造後、一年以上経過した日本酒は古酒と呼ぶ。
それが三年以上たったものは「秘蔵酒」と呼んでもいいのだと聞いたことがある。
門外不出の酒とか、秘蔵酒とか、幻の酒という名称は、それが酒屋で売られているのだから、
門外不出でも、幻でもなんでもないということで、それは惹句以外の意味はないのである。

なんとなくうまそうに感じるキャッチフレーズだからそれは許される嘘である。
杜氏の一人酒とあったら、それはきっと杜氏だけが呑めるうまいお酒に違いないと思うが、
意外と本醸造などを呑んでいることが多い。たしかに普段の酒がうまくなければ意味がない。
高いお酒は蔵元のものである。そういういいお酒を杜氏が勝手に呑めるわけがないのである。

売れ残った酒といっても、長期熟成酒と呼んでも中身は同じことがあるが、その場合でも
長期熟成酒と呼んだ方が なんとなく味が乗っておいしくなったように思えるのである。
その老〈ひ〉ねたお酒の味わいをどう評価するかである。老ねとは経年変化のことである。
老ねるというのは、清澄な日本酒が紹興酒のようなこってりした味わいになることをいう。

紹興酒が苦手な人は、老ねた日本酒もたぶん口に合わないだろう。なじめないだろう。
たしかに、それをうまいというのは、かなり性格がひねているといえないこともない。
しかしである。齢〈とし〉をとると、その味わいに意味を見いだしたくなるのである。
そして、新酒のあのうまさとは異なる、別のうまさがあることに気付くのである。古酒有情。
by munojiya | 2011-01-29 01:18 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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