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2011-03-16 質素倹約

「質素」「倹約」
それは大人が毛筆を習いはじめたときに最初に書く文字である。目指す境地である。
字を書くことは、それを書くことが目的ではないのである。
文字は自分の意思表示をするためのものだから、その意志がない文字なんか意味がない。

すなわち、文字を書くということは意志を示すということなのである。
「だって人間だもの」でもいいのである。自分の言葉を書いているから書家である。
だからシナの古の詩人〈よいどれ〉が作った詩文を書き写して書家と名乗るのは間違っている。
綺麗な書体で自分の意志がない文字を流麗に書くのはペンキ屋と呼ぶのである。

書家というのはその精神を字に表してこそ そう呼ぶものだからである。「家」の重みである。
字の上手な人がなべて書家でない理由である。
飾った文字を書くな、無駄な文字を書くな、である。なお、飾った文字はレタリングという。
前者は下手すると精神の軽薄さが透けて見える、後者は紙と墨を無駄にするからである。

その無駄の箍が外れたものが絵画で自由に描いていい。書と絵が区別される由縁である。
肝心なことは「質素」も「倹約」もそれは他人に押しつけることじゃないということである。
それは己の身を粛する姿勢なのである。日本人とはその境地に至れる人をいうのである。
毛筆を使って初めて書く文字が「禁酒禁煙」という人もいるのではあるが。それも又良し。

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庵主なら「均酒均煙」。時々呑まずに毎日呑む。禁煙を繰り返さずにいつも一定して喫む。

by munojiya | 2011-03-16 00:51 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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