2011-03-30 財布やお金は不要の世界
庵主はこれを読んでいて何度も涙をそそられたのである。1年後に読んでも泣けるかは分からないが。
『何の匂いだろう?
焦げ臭い匂いがつーんと鼻に抜けていきました。』。現地の空気のにおいが伝わってくる。
『「東京の看護婦さん、
ここにおじいちゃんが戦後一生懸命働いて建てたおうちがあったんだよ、
おじいちゃん病気ひとつしなかったのに死んじゃったよ」
人間の感情があるから泣くなと言われても無理でした。』そしてすっごく怒られるのである。
庵主も、ここでひっかかってしまったのである。
会ったことも見たこともないそのおじいちゃんになぜか心の繋がりを感じてしまったのだ。
この連帯感はなんなのだろう。知らない人なのに繋がっているという感覚のことである。
うまいお酒を呑んだ時に感じるいいお酒を造ってくれて有り難いという連帯感である。
縁はないはずなのに繋がっているという安心感である。それが切れてしまったという喪失感だ。
6歳の瑠奈チャンのお母さんの話のところでも、その先が読めなくなってしまった。
『傷に薬をつけて包帯を巻くのは簡単だけど 心に包帯を巻くのは難しい。』
まもなく四月だというのに、この春はなおも寒い日が続いているのである。
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『また会おうって言っても お手紙を書きたくてももう瑠奈チャンには住所がない』。また涙。