人気ブログランキング | 話題のタグを見る

2011-06-14 映画「アリス・クリードの失踪」

厚川昌男〈あつかわ・まさお〉というアマチュア奇術家がいた。故人である。
ペンネームを泡坂妻夫〈あわさか・つまお〉という。アナグラムである。
「あつかわまさお」を組み換えて「あわさかつまお」にしたのである。
その推理小説の中に、一冊まるごと手品の仕掛けが施されているという凝ったものがあった。

その文庫本を使うと、仕掛けを知っているなら奇跡の手品が演じられるようになっている。
映画全体に仕掛けが施されているのが「アリス・クリードの失踪」である。
映画のタイトルが最後に出てくるのである。タイトルにも仕掛けが施されていたのである。
そこで、タイトルの意味に気付いてまた楽しめるというわけである。

誘拐映画である。登場人物は3人だけという安上がり映画である。
が、よく練り込まれた脚本が面白いのである。後半にご都合主義の部分があるとの指摘もある。
若い女がさらわれる。犯人は中年男と若い男の二人組である。出演者3人、スタッフ数十人。
冒頭の数分にセリフがない。その緊張感とテンポの良さに引き込まれるのである。

そしてどうなるのか。その先のストーリーを書けない映画なのである。なお、R12である。
まだ見ていない人のためにである。広告風に書くと、思わぬ展開になる、ということになる。
ある人はそれを「大爆笑」の展開だという(A)。書きたいことは多いが、行数が足りない。
で、落ちは、「誘拐犯はビールを飲んではいけない」である。なぜかは映画が教えてくれる。

-----

公開されたばかりなのに、ネットですぐにネタをばらす馬鹿が出てくるに違いないというのが
ネット界の話題の種である。その馬鹿の汚名を着たら末代の恥というわけである。
映画の最後に流れるロールクレジット(正しくはその前だが)もセンスがいいという人もいる(B)。
庵主はこの映画を見たあとに「成政」と出合うのである。次作も期待したくなる監督である。

-----

「映画評論家の秋本鉄次」はイエローカードである(C)
この映画は、映画評論家泣かせの映画なのである。
面白いところを書くとネタばれになるからである。書きたくても書けない映画なのである。
逆にいうと映画評論家の腕の見せ所なのである。その腕前がバレるのである。

-----

リンクしたツイッターは引用部分に直接飛べないのと、そのコメントの番号も付いていない
ので引用した部分を以下に魚拓しておく。
(A)『「シャロウ・グレイブ」「バウンド」を彷彿させるクライムもの。中盤にどえらい展開が
待っていてそれが大爆笑必至。完全にギャグの間でツボって笑いが止まらず大変でした。



(B)『 「アリス・クリードの失踪」見た見た。これは? 硬質でざらっとした手触りが心地
良い! これはイイです。エンドクレジットが、これまたイイんだ。

映画が終わってからタイトルが始まるのである。タイトルはその先のストーリーだったのだ。
そのバックがまたまた凝っている。庵主はスタッフの多さに、最後に大笑いさせてもらった。

(C)『映画評論家の秋本鉄次です。
「アリス・クリードの失踪」は一筋縄ではいかない誘拐サスペンスとしてお勧め。誘拐犯の男
2人はゲイ? 両刀? 誘拐自体が狂言? 誘拐されるヒロイン、ジェマ・アタートンは最近
私のごひいきの大柄美人女優で、脱ぎっぷりもブラボー!


「アリス・クリードの失踪」登場人物の少ない舞台みたいな映画は苦手ですが、これはツボ
にハマッた! 終始緊張しまくりで呼吸するのがやっとだった。ピンと張り詰めた糸は脚本の
上手さなんだな。これから観る人は予備知識ナシで3人に身を委ねてほしいデス!

面白いという情報も不要な予備知識かも。英国映画を「ひねた大人だ」といった人がいた。


-----

ちなみに、アメリカ映画は「いつまでたっても子供」の映画である。

by munojiya | 2011-06-14 01:38 | 世話物 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya