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お酒のストーリー

たとえば
「越乃寒梅」といえば
幻の酒ということで
一度は呑んでみたくなる。

たとえば
「十四代」といえば
今でもなかなか手にはいらないお酒ということで
目の前にあったら呑みたいと思う。

さらに
「久保田」とか「八海山」と聞くと
なんとなくいいお酒だと感じられて
うまそうに思えるのである。

うまそうに思えるから
そのお酒を呑んでみたくなるのである。
酒の善し悪しはともかく
評判のお酒だから呑みたいのである。

評判になるということは
それらのお酒は
ストーリーを作り上げたということなのである。
そのストーリーがおいしく感じるのである。

青森県に六ヶ所村という村がある。
六ヶ所村といえば
庵主が思いつくのは
原子性廃棄物の処理施設を誘致した村だということである。

そんな危ないものを誘致するのだから
補助金が落ちることだけがよすがの貧乏でかつ後ろ向きな村なのだろうと思って
村のホームページを見たら
全然逆で積極的に活動している村だった。

六ヶ所村の特産に全国一の生産量を誇る長芋がある。
その長芋を原料にして長芋焼酎を造って売り出したのである。
六ヶ所村特産の焼酎である。
その焼酎造りを宮崎県の黒木本店に委託したのである。

黒木本店といえば
焼酎ブームの走りとなった「百年の孤独」の蔵元である。
いまや売れ過ぎて「百年の孤独」は味が落ちたというのが定説なっている。
あんまり人気が出てしっかり熟成できなくなってしまったからである。

とはいえ、
黒木本店の焼酎はいまなお魅力的である。
また、
長芋を原料にした焼酎造りのノウハウをもっているという。

北の青森と南の宮崎のコラボレーション(異種和合)である。
その焼酎が「六趣」(ろくしゅ)である。
これが人気になって
いま入手困難なのだという。

なんとなく
呑んでみたくなってきたではないか。
なぜか。
お酒にストーリーがあるからである。

そのストーリーが広く語られるようになるとその酒は伝説となる。
伝説のお酒なら出会ったらつい呑んでみたくなるではないか。
ただ、放射性燃料の処理施設がある六ヶ所村の特産の焼酎ということで
「六趣」にはべつの不安がよぎるのである。
by munojiya | 2005-08-05 12:54 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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