お酒のうまい呑み方
常識で考えたら、そんなお酒があるわけがないのはすぐわかるのですが、お酒の話をすると、格闘技のチャンピオンはだれかというような質問が出てきます。
格闘技なら異種競技でも実際に戦かって勝った人が一番つよいのでしょうが、お酒はそうはいきません。
お酒の場合は、ちょうど自動車に似ているかと思います。
自動車の話なら、「今一番いい車はなんですか」と聞かれても答えられるわけがないのと同じです。
乗用車のいい車とトラックのいい車があるとしたら、どっちが一番いい車だといえでしょうか。
「いま、一番うまいお酒はなんですか」と聞かれたら、庵主は待ってましたとばかりに、一つの銘柄をあげてそのお酒のどこがうまいのかを説明します。
「いま一番うまいお酒は静岡の「開運」というお酒です」と答えます。
そうです。波瀬正吉杜氏が醸している、静岡の土井酒造のお酒です。
以下は半分セールストークです。それを知ってて庵主は「開運」のうまさを褒めまくります。
意外と思われるかもしませんが、静岡のお酒が日本で一番うまいお酒を造っているのです。
多くの人がそのことを知らないことは当たり前です。静岡県人が「開運」「磯自慢」「初亀」「正雪」といったうまいお酒があることを知らないのですが。
静岡のお酒がうまいといのは、うまい酒を造らないと生き残れなかったからです。東には東京という大消費地があって、日本全国のうまいお酒が集まってきます。まずい酒を造っていたのでは相手にされません。
西には灘伏見の大手の酒があって、酒の知名度といい、その安さといい、まともに立ち向かったのでは勝てるわけがありません。
静岡の酒が生き残るためには、うまい酒を造るしかなかったというわけです。今ある静岡のお酒はそういううまい酒ばかりだということなのです。
お酒が好きな人なら必ず静岡の酒に注目しています。いろいろなお酒を呑んだあとに静岡のお酒を呑んでもそのうまさがはっきりわかる実力を持っているからです。
いろいろなお酒を知っている人のほうが静岡のお酒のうまさを認めるのです。
その中でも波瀬正吉杜氏が造っている「開運」がお勧めです。
デパートなどでも売っているから手に入り易いということと、どのランクのお酒を呑んでもうまいからです。
大手日本酒メーカーが造っている普通酒などは相手にならないほどのうまい酒です。
一度、「開運」を呑んでみてください。できれば上のランクのお酒を呑んでみてください。
お金があったら、大吟醸の「波瀬正吉」を呑んでください。杜氏の名前を付けたお酒は、杜氏が自信をもって勧めるお酒です。変なお酒に自分の名前を付けたら恥をかくだけですから、このお酒はうまいんでする。呑んでみると、お酒のうまさにびっくりしてしまうと思います。
四合瓶で4500円です。下手な酒を何本も呑むよりも、うまい酒を1本呑んでみることです。
その最高峰が「波瀬正吉」です。呑まずに死んだら悔いを残す1本です。
たまたま日本酒を知っている人に出会えたから、うまいお酒を知ることができたのですから、人生をバラ色にするお酒があるということをぜひ確かめてください。
おいしいですよ。
と、強く「開運」を勧めます。「開運」が一番うまいと強調します。庵主が好きな酒だという理由だけなのですが。
日本酒にはいろいろなタイプのお酒があります。純米大吟醸、純米吟醸、特別純米、純米、大吟醸、吟醸、特別本醸造、本醸造、普通酒という区別もありますし、米違いの酒があるし、またにごり酒だ、生酒だといった処理の違いによる味わいの違ったお酒があります。
いろいろあるのですが、酒は大きく分けると、うまい酒とそうでない酒しかありません。
要するに、酒は自分の好みだということです。
高い酒が必ずしもうまいとは限りません。安い酒だから呑めないということはないし、時にはまずい酒がうまく感じることだってあるのです。
うまいお酒とそうでないお酒の違いはたしかにありますが、しかし、うまくないお酒でも楽しく呑むことを心がけてありがたく呑むということがせっかくのお酒をうまく呑むコツだと思います。
だって、うまくない酒をまずいと思って呑んでもうまくなりませんが、そういう酒を呑むときは気持を切り換えて楽しく呑んだほうが得だと思います。
庵主が、お酒がうまいと思う呑み方はお酒の好きな人達と一緒にいいお酒を呑むということです。お酒の好きな人たちが集まる会で呑んでいると、はじめは知らない人同士でも呑んでいるうちにだんだん緊張がほぐれてきて話がはずむようになります。
呑めない人は呑めないなりに、たくさん呑める人は存分に、自分のペースで呑みながらわいわい呑むのがいちばんお酒がうまいように思います。