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2011-11-04 「克正」の山廃と生モト

酸味のうまさこそお酒のうまさの核心だと庵主に確信させてくれるお酒がこれである。
「三光正宗」の「克正〈かつまさ〉」である。
高垣克正〈たかがき・かつまさ〉杜氏の名前をつけたお酒である。
このお酒は凄い。

漫画「夏子の酒」では、理想のお酒とは欠点のないお酒だとあった、と記憶している。
それはいい意味での「欠点がない」という言葉なのであるが、
悪い意味で「欠点のない」お酒なら大手酒造会社の工場で造っているお酒である。
大手の紙パック酒はあえて指摘するほどの欠点はないのである。しかも安い。

ただし、その反動で少しもうまくないのである。面白くないのである。つまらないのである。
それはよくいえば究極の美酒と言えないこともないのである。癖がないからである。
呑み手の気持次第でどんなふうにも染められる酒だからである。
一方、うまいお酒とは、造り手の気合が伝わってくるお酒である。ドンとくるお酒である。

「克正」の山廃と生モト[モトは“酉元”]を呑み比べてみてほしい。
現物はいまなら四谷三丁目の「日がさ雨がさ」で呑める。まだ在庫があるはずである。
ぬる燗にしてもらうとまたうまい。燗酒のうまさも酸味が支えているのが分かる。
「丈径」が弟なら、「克正」は兄といったところである。一日の長が味わえる。いずれも美酒。
by munojiya | 2011-11-04 00:14 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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