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2012-01-12 甜いお酒が好き。でも甘い酒は飲みたくない

庵主は「甜〈あま〉い」お酒が好きである。辛口の酒なんかは呑むまでもない。
目をくれる必要もないほどである。
だけど、「甘い」お酒は飲みたくないのである。
庵主が呑みたいのは、人甘〈じんかん)(人工甘味料)や砂糖の甘さではない。

いいお酒が味わわせてくれるあのせつない甘さを湛えているお酒なのである。
お汁粉を作るときに塩を入れて甘さを演出するように、
お酒の甘さを演出するのは酸味なのである。
きれいな酸味に包まれた甘さがほのかにとろけるときの甘さがなんともいえないのである。

庵主が、お酒のうまさは酸味のうまさにあるというのは、酸味がしっかりしていないと
甘さのせつなさがおいしく感じられないということなのである。
お酒の味わいは酸味、甘味、苦み等のバランスの上に成り立っているから、
特定のスペック(要素)が傑出していても、全体としてのお酒がうまいとは限らない。

日本酒度がマイナスである甘口のお酒は甘いのかというと、甘いものもあるが温いのである。
むしろ、プラス3とか4ぐらいの辛口で、酸味が綺麗なお酒のほうが甘く感じることがある。
庵主が好きな甜いお酒とは、はなから甘いお酒ではなくて、ほどけたときに甘さが滲んでくる
お酒なのである。辛口のお酒はその余韻を切り捨ててしまっているからつまらないのである。

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演出するとは、ヤラセ(見た目だけを整えること)をすることではない。
本来の意味は、その人が持っている能力や魅力を引き出すことである。
演技の演出というのは、型を押しつけることではなく、俳優の能力を引き出すことである。
〈ゆえ〉に、物については演出とは言わないのかもしれないが、ここではその意味での転用。

by munojiya | 2012-01-12 00:37 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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