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2012-05-28 先憂後楽ビール

本来の題名は「庵主にとって一番まずい本ビール」である。
本ビール」というのは本物のビールという意味ではない。アル添ビールのことである。
正しくいえば、それは不味いのではない、飲んでもつまらない本ビールということである。
まずいビールならまだ飲めるのである。

今日の話題の本ビールは、うまくもなければまずくもない、何にもないのである。
言うならば、水代わりの本ビールであるが、はっきりいって水の方がまだうまく感じるほど。
日本酒では「月桂冠/糖質ゼロ」が、庵主にとって一番不味いお酒であるが、
ビール類では今日取り上げた本ビールがそれに匹敵するのである。

サントリーの「金麦/糖質70%オフ」のことである。
醸造酒のうまさというのは、お酒なら米由来の甘さ、ビールなら麦芽由来の甘さにある。
糖質〈うまさ〉を70%もカットしたビールなんか飲んでもうまいわけがないのである。
また言うならば、そんな酒は病人食である。健康な男が飲むものじゃない。

塩分が駄目、あるいは糖分が駄目という病人のために、やむを得ず、それらを抜いて食事を
作ることがあるが、健康な人が食べたら不味くて食えたものじゃない。
糖質をカットした酒とか本ビールとかはそれなのである。味わいを求めて飲むものじゃない。
これ以上まずい本ビールはないだろうから、次に飲むビールがうまく感じるビールなのである。

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黄泉〈よみ〉の旅路の餞〈はなむけ〉に、今生〈こんじょう〉の別れとして、
別世〈べっせ〉でも堅固でいるように健康を慮〈おもんぱか〉って
最後に飲ませるにはちょうどいい本ビールかもしれない。無味にして無明〈むみょう〉である。
庵主なら、最期にはビールよりもうまいお酒が呑みたいけれど。迷いが払われるお酒を。

by munojiya | 2012-05-28 00:03 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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