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お金持ちになると酒の味がわかるようになる

時に8月14日。
日曜日である。
奇しくもその映画が封切られた昭和45年8月14日と同じ日。
庵主は暇だから一日中その長い映画を見ていた。

上映時間約9時間余である。
映画は
日活映画、山本薩夫監督作品、五味川純平原作「戦争と人間」の全三部作である。
もちろん劇場で見たのである。

庵主は
お酒と映画は
昼間っから呑んだり観たりしないことにしている。
呑み終わったり観終わったときに空が明るいとせっかくの夢が白けるからである。

最近は
映画を見るときに
劇場の売店で売っている
生ビールを飲みながら見るということが習慣となってしまった。

映画を見るときには生ビールを飲むというのが癖になったしまったのである。
映画の上映は午前中から始まる。
習慣で
朝っぱらからビールを飲んでいた。

映画のストーリーは
架空の新興財閥伍代産業を軸にして
それにからめた戦前の歴史との虚虚実実が織りなす
反日本支配層かつ反軍国主義的心情を描いている。

最後は反天皇制にたどり着くのだろうが、
当時の日活は倒産寸前の経営状態だったから
そこに到達する前に
第三部で製作が打ち切りになってしまったのである。

資本家でお金持ちの伍代家が舞台である。
生活は優雅である。
自宅にグランドピアノがある。
浅丘ルリ子が華麗な演奏を奏でる。

食事のシーンには
ブランデーとかの洋酒が並んでいる。
ときには燗をつけた日本酒だったりする。
当主である滝沢修のグラスを持つ手はさまになっている。

昭和3年から対米戦争が始まるあたりまでの日本である。
貧乏人がブランデーを口にする機会は少なかったことだろう。
しかしお金持ちはそれを生活の中で楽しんでいたのである。
お金持ちになるとお酒の味がわかるようになるということである。

もっともそれは
いい酒を日常的に飲んでいるからである。
貧乏に生まれるとそういう酒に接する機会がないために
お酒のうまさを知ることがないというだけのことだけれど。

お金を出せばそこそこにいいお酒が手に入る現在にあっても
酒に興味がないという場合にはそのうまさを知ることがないということである。
結果的には昔の貧乏人と変わるところがない。
うまい酒がわかるということは懐具合よりもむしろ興味の有無なのである。

庵主は日本酒を輸出しても
外国人(欧米人)にはその微妙な味わいはわかるまいと思っていたのだが
実際は外国人でもうまいお酒はちゃんと味わうことができるという。
うまい日本酒との出会いが外国人の味覚を広げることとなったのである。
by munojiya | 2005-08-21 20:44 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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