2012-09-24別稿 お酒と甘いもの
辛口の日本酒には黒糖の花林糖、
燗酒には温泉饅頭、
ウイスキーにはポッキーのようなチョコではなく、ライスチョコレートが合うという。
金平糖はどんな酒にも合うとのことである。
じつは、今「喜楽長〈きらくちょう〉」の「辛口純米吟醸/+14」を呑んでいるのである。
それだっ、と飛びついたのである。黒糖花林糖である。おっ、黒糖の甘味がすっと切れるぞ。
「喜楽長/+14」は、超辛口が苦手な庵主がかろうじて呑める辛口酒である。
+14というのは、日本酒度が+14という意味である。
普通の日本酒が+2~+5といった辛口だから、+14は超辛口の数字なのである。
一般的に、超辛口のお酒はアルコールを添加して調整してるようである。
そういう辛口は醸造アルコールの味気なさが表に出てきてちっともうまくないことが多い。
ビール類の新ジャンルと同じである。アルコールはそれを感じたときに白けてしまうのだ。
その点、「+14」は実力の純米酒である。超辛口なのに甘味を湛えているのである。
それでも、やっぱり庵主の口には物足りないのである。すっと切れていくその味気なさが。
水臭い酒なのである。とはいえ、酒呑みなら一度は呑んでみていただきたい超辛口酒である。
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「喜楽長」のこの「+14」は天保正一杜氏を継いだ家修杜氏が醸したものである。
この「+14」もそれなりの技を感じるが、天保杜氏の「+14」に感銘したことがある。
そういう時に「弥右衛門〈やうえもん〉」の超辛口(+13)と出合ったのである。
今(2010年12月時点)出まわっているそのお酒は傑作といえる出来栄えである。
最初口に含んだときに、辛口を思わせないのである。
おっ、うまいお酒と思わせておいて、ややあってすっと貌〈かお〉が変わるのである。
もちろん辛口本来の舌に未練を残さないけれんのない表情に変わっていくのである。
変化の妙に感心した。このお酒は面白い。グリコではないが一粒で二度おいしいお酒である。