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2013-01-03 燗の入り

「燗の入り」は、「寒の入り」のもじりである。
「燗に入る」のである。燗酒が一入〈ひとしお〉身にしみる季節である。
「美女」という至福の観念がある。
このうえなく美しい女性〈にょしょう〉がいるという幻想のことである。

幻想というのは、幻滅の一歩手前のこのうえない悦楽のことをいうのかもしれない。
しかし、人はその限界の先を、つい覗いてしまうのである。覗きたくなってしまうのである。
一杯目がうまいのだから、二杯目はもっとうまくなるに違いないと思ってしまうのである。
それで、幻滅の淵に落ちるのである。その一歩手前でとどまれる人は達人である。

分を知るというのはそれができることをいうのかもしれない。
「燗酒」という至福の観念がある。燗酒はうまい、という大嘘のことである。
今のお酒は、といっても昔のお酒は、庵主は若かったからそれを呑むことはなかったので
知るわけがないが、当今のお酒は燗をつけても大してうまくないのである。

その理由は、多分お酒の設計の違いによるのだろう。
いまのお酒は、ほどよく冷やして呑んだときにうまく感じるように設計されているから、
燗に耐えない(「感に堪えない」の駄洒落)のである。
が、「不老泉」の山廃純米吟醸の燗は感に堪えるのである。このお酒の燗は本当にうまい。
by munojiya | 2013-01-03 03:07 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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