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セカンドかショートか

野球で、
セカンドが二塁ベースを越えて
ショートの守備範囲まで入り込んだら
有能な二塁手といえるだろうか。

なんとアルコール度数38度という日本酒があったのである。
庵主は一瞥して苦笑した。
その度数は焼酎の守備範囲だろうと蔵元の見識を疑ったのである。
「鳳凰美田」である。

庵主はそういう下手物(げてもの)が大好きである。
500ML1800円である。
美しいフォルム(形)をした瓶に入っている。
その色気に引かれたのである。

もちろん遊びで造った酒である。
醸造酒であるはずの日本酒だが
38度のアルコール度数を出すことは
計算さえできればアル添で自由自在なのである。

多分、と
庵主は推量するのである。
このお酒はアル添が許されている日本酒に対する
猛烈な抗議声明だと。

日本酒と醸造アルコールとの混和酒が
なぜ醸造酒である日本酒を名乗れるのか。
それは不当表示なのではないか
という恰好のイヤミがこの酒なのである。

「日本酒 鳳凰美田 ~J-Sake~」である。
原材料/米、米麹、米アルコール
原料米/兵庫産山田錦米十割 精米歩合/五十五%
アルコール分/三十八%

酸味料も糖類も添加されていない
このお酒は特別本醸造酒なのである。
兵庫山田とか米アルコールとか磨き55%とかを見ると
原料は吟味されていることがわかる。

本醸造酒の条件は白米1トン当たり重量でその10%以下のアル添となっている。
しかも10%というのは95%アルコールでということなのである。
普通はアルコールを30度ぐらいに薄めて添加するのだが
そのアルコール濃度を高くして添加すれば38度も簡単に出せるわけだ。

と書いたところで計算してみたら
本醸造酒の原料米1トンあたりのアル添許容量(上限120リットル)だけでは
アルコール分を38度にするのは不可能なことがわかった。
計算するとアルコールを薄めずに添加しても600リットル以上必要である。

そうなるとこのお酒は手の込んだ普通酒ということになる。
というのも、お酒の色はうっすらと黄金色で香りが高いのである。
なにか特殊な製法でアルコール度数を上げているようである。
しかしてその正体は。

精米歩合55%の兵庫産山田錦を全量用い
吟醸仕込み(長期低温発酵)で醸造した吟醸原酒に、
3年熟成した米焼酎のハナタレ(度数60%の)をブレンドし、
樫樽で半年間熟成させたお酒である、とネットで調べたら出てきた。

たしかに「焼酎やウィスキーのような、日本酒のような、不思議なお酒」である。
このお酒の狙いはなんなのだろう。
焼酎風味の日本酒か、焼酎ファンと日本酒ファンの両方を取り込もうというのか。
いや、いや、庵主のような下手物好きのためのお酒なのである。
by munojiya | 2005-09-14 00:12 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya