2013-02-07 それは逆 「人間、見た目ではない」
そう言うことになっている、と書くべきか。
それは逆なのである。
実は、見た目が100%なのである。世の中にはそれで困っている人も少なくないらしい。
目が見えるということはそういうことなのである。
目で騙されるということである。
だから、一部の高級酒は、桐箱や金箔のラベルで飾るのである。
それが目にはおいしく感じるからである。呑み手の優越感がくすぐられるからだろう。
盲になった宮崎康平がお酒が一滴も呑めない永六輔に言ったという。
「酒を呑むのはね、盃の上をわたる風を味わうことですよ」と。
庵主も、お酒を目で呑んでいたのである。否、お酒は目が見えなくても呑めるのである。
その風があることに気がつかなかった。盲人にお酒を教えてもらったということである。
盃の上をわたる風とは、造り手の気合ということである。
いいお酒にはその気合がこもっているのである。だからうまいのだ。
目〈ラベル〉で味わうな。自分の舌で味わえ。
先入観で呑むな。盃上の風〈こころ〉を味わえ。
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真実は、日本では学校の先生ではなく、漫才師が教えてくれるのである。
「人は、見た目ではありません」とお客さんを頷かせて同意を得た後で、
「見かけがすべてです」と言って笑わせるのである。それがなぜおかしいのか。
常識の嘘を信じている自分に気づかされるからである。笑いとばす以外にないのである。