2013-03-07 歌舞伎は最初に見るものが肝心
歌舞伎は最初に見るものが肝心ですからね。
最初に見たものがつまらないと、その後は歌舞伎を見なくなりますから。
勘九郎さんの歌舞伎はお客を眠らせませんからね。
お酒も同じようである。
最初に出合ったお酒がトンデモナイものだったら、二度と呑み気がしなくなるのである。
庵主もそうだったが、たまたま一冊の本に出合って救われたのは幸いだった。
まだ、庵主が本を読むという習慣〈クセ〉があった数十年前の頃のことである。
爾来〈じらい〉、絶望の淵にあった日本酒はその一部の造り手は三増酒の呪縛から脱却して、
どんどん、みるみる、ますます、日々にうまくなってきたのである。
落語に、「涙は、悲しい時や、うれしい時にも出るけれど、うまいお酒を呑んだときにも
涙がでるんですねぇ」というくだりがある。
まさに、庵主は、不覚にも予断を越えたうまいお酒を口にして涙しそうになったことがある。
想像していた味わいをはるかに越えるうまさに、虚を衝かれて感極まってしまったのである。
うまいお酒で泣けるという経験をしてしまったのである。うますぎるお酒があるのである。
でも、出合えない人はその味わいを知ることなく死んでいくのである。縁というものである。