2013-12-03 虚しくなる料理
『あれって結局、独身者がいかに市井の料理屋で
家庭の味、幸せの味を満たすことができるか
的なものが奥底に透けて見えて、すごく虚しくなる』((81番)。
虚しくなるというのは、自分は否定している家庭料理に郷愁を抱いてしまうという
アンビバレントな、おっと自家撞着する心情を嗤ってのことである。
家庭料理は食べたいが、家族は持ちたくないというのである。
一言で言えば、その振る舞いがアホらしいというわけである。
食い物は、乗っている車と同様に、その人の心情が露骨に出てしまうから困るのである。
故小沢昭一は、人前ではぜったい食事をしなかったという。
賢明である。人前でうっかり食事をすると、こんなふうに見られかねないからである。
TVや映画で、絶対美女がとんでもない箸の持ち方をしているのを見たら夢が壊れる。
盃の持ち方も同様である。存外、それはあまり下手な人はいないようであるが、
やっぱり大映映画の眠狂四郎の持ち方は、さすがに撮影所仕事だけあって見事である。
それを見るだけでも大映映画の実力を見る価値はあるのである。
そういう格好いい呑み方を真似したくなって、ついお酒が呑みたくなる映画なのである。
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『900冊読んでるマンカ[庵主校正:マンガ]解説者(キリッ
プロゲーマー(笑)並に恥ずかしい肩書きだな』(102番)。
当人から口にできない肩書である。そういうのを自称肩書ではなく、他称肩書という。
庵主は造る方ではないが「きき酒師」である。普段は表には出さないがハッタリにはなる故。
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『信長のシェフはどのジャンルに属するんだ? こないだは元恋人とナツメグで人を殺せるか
否かのバトルやってたから料理バトル漫画になるのか?』(126番)。
『食材から拘った究極の料理が実は偽装ラッシュの漫画か』(292番)。行き着いたのだ。
食い物漫画に至ったら、その文明は上がりなのだろう。幸い、お酒は目下、尚発展中であるが。
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『夏子の酒がバトル・作成・賞味・社会問題全ての要素持つ食べ物系漫画の頂点な気もするん
だけど 作者が元ヤマジュンという噂は真実なのか気になってしょうがない』(131番)。
漫画家にも、カツシンとか、アラカンと呼ばれる人がいたのか。知らなかった。
ヤマジュンの画風を見てみたら(閲覧注意)、尾瀬あきらに似ていないこともないのである。
『たしかに夏子の酒は全ての要素を満たしてる気がする
足りないのはエロ』(170番)。
エロ漫画は、「三流」と呼ばれる独立分野だから、いうなればビールの新ジャンルなので、
深入りしなかったのだろう。そういうのは、お好きな人はどうぞということである。