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2014-07-30 「億が不快」

うーん、奥が深い』(典拠)を標題にしようしたら誤変換になってしまった。
「億が不快」は庵主の潜在心理なのかもしれない。
心の底に、お金に対するコンプレック(わざと外来語使用)が渦巻いているのか。
お金を崇拝しながら、同時に馬鹿にするアンビバレント(同上)な感情の現れなのかも。

運悪く、ネットを散策していたら、また今敏〈こん・さとし〉に出合ってしまったのである。
さらに運が悪い事にはその「妄想代理人」全13話が全部ヨウツベで見る事ができるのである。
歌詞が聞き取れない平沢進の主題歌で始まるオープニングに引き込まれてしまった。
世の中には、庵主には理解できないストーリーを理解してしまう人がいるのである。

そういう人は、映画のストーリーがよく理解できない派である庵主のつよーい味方なのである。
できない派の仲間は少なくない、『最後まで見ましたが、なんだか誰も救われない最後に憤り
を感じ、監督は何がしたかったんだと疑問に思いたどり着きました。
』(同米欄)
そのお助け人でさえ最後は泣きを入れているのが「妄想代理人」である。(泣きは欄外に)。

最後の追記を読んで鳥肌が立ちました』(同米欄)。
この落ちの「ア=」の解釈は確かにエレガントである。洒落ている、と言い換えてもいい。
うまいお酒の味わいも奥が深い。お酒も『偽の「癒し」であり、人々の「逃げ」であり「言い
訳」の象徴であるのだ。
』(同)。妄想はさめないが、酔いはさめるから救われるのである。

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エヴァみたいに、「とりあえず訳分かんないラストにしとけば、観た人が勝手に解釈して
くれるだろ 答えなんて俺も思いつかないもん」てな考えを今監督が持ってたら泣く。
でも「パーフェクトブルー」のラストを見る限りでは、きっとそうじゃないと思うんだよね。
思いたい。
』(同)。

そこで、今敏の評価が別れるのである。なにがなんだか分からないストーリーを作れるのだか
ら天才だという見方と、他人が理解できるまともなストーリーが作れないのだから欠陥作家だ
というとらえ方とである。
それにしても、今監督は妄想と幻想と現実がごっちゃになった世界を描くのが上手い。

それって、逆に言えば、ちょっと気がおかしいということなのではないのか。
現実と空想の区別がつかなくなったら、気違いの領域だろう。
小説というのは、作家の虚言癖に付き合う事だし、アニメは作家の狂気と付き合うことみたい
である。『これ病的アニメです』(典拠)。それが正解に近いのではないか。

だから、正気の時にアニメを見ても理解できないのである。
現実にはないことを表現できるからアニメなのであって、そういう世界を現実の生活と比べて
おかしいとか、狂っているというのは野暮な話なのである。
つまらないお酒とは語る所がない酒をいうが、面白いアニメは語りたくなるということである。

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自分の本当の姿は、自分では見る事ができない。
自分の本当の声を自分の肉体では聞くことができないように。
自画像で思う浮かべるだけである。他者の視点がないと自分の姿はみえなののである。
他者の視点。『いずれかの時点で、アニメの中の皆は狂っている。視聴者さえも。』(典拠)。

外国人の感想が、OP(オープニング)が、みんな笑っているので不気味だという事である。
外国人は日本人が苦境で笑う事を理解できないというが、『かつて偉大な作家が、「にやっと
笑って乗り越えられないほど破滅的な不幸はない」
』(同前以下同)という言葉を引いている。
確かに、庵主が笑顔を保っている時は怒りが滾っている感情を押し殺している時なのである。

今敏はインタビューで、アニメが深夜に放送されるから視聴者に本編前に目を覚まして
ほしいと思ってこのOPを作ったって言っていた。そのとおりに働いているね。
彼は極端な影響を出してしまったと思うよ。目覚めるどころが、一週間眠れなくなってしまう
からね。

ようやくいつも通りに眠れる用
[様に]なったころ、また新しい話が放送されるんだ。』。
深夜にびくびくしながら見ていたのを思い出すよ』。
私が今まで費やした中で最高の1分37秒だった。』。
人生とはなんと栄光ある混沌か』。みんな、うまいこと言うものである。

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今敏、享年48。早逝とはいえないまでも、早死にである。
監督の遺書を読んだが号泣してしまった。』(典拠)という。
庵主はそれをまだ読んではいないが、ネットで探せば読めるのだろう。
相手は気違いくさいので、これ以上関わるのはやめた方がいいような気もするが。

先日、監督がなくなられましたね。私はこのオープニングに衝撃を受け、今さんを知りま
した。非常に残念です。彼のような優れた感性で、日本のアニメを引っ張っていける方が他に
もいるでしょうか。ご冥福をお祈りいたします。
』(同前)。
いいOPだ。さすが狂気』(同前)。曲もかなりそうだと思うのだが。

私も、震災後に改めて見返してしまいました。津波や廃墟…… そして"キノコの雲"や波動
が走る地球を宇宙から見る構図…… 何か起こりそうな予感がします。
』(同前)。
今はこのOPがのしかかるよね…… 見てたときは非現実的で幻想的と思っていたものが
まさか現実としてつきつけられるとはな……
』(同前)。

3.11のすぐ後、この作品見返してみると、恐ろしいぐらい今の日本の空気を描いていて、
驚くというより、背筋に寒気がはしりました。
今監督の時代を観る眼の確かさに、改めて驚かされる。平沢進の曲もこれからの混沌の時代の
そのまた先を予見しているようで。
』(同前)。怖いアニメなのである。

by munojiya | 2014-07-30 00:03 | 余外篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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