2014-08-02 普通酒とは何なのか
すなわち、「普通酒を買ってきて下さい」と言われた時に、ちゃんと買物ができる大人が
どのぐらいいるのかということである。
庵主は「ジップロックを持ってきて下さい」といわれて戸惑ったことがある。
何を持っていけばいいのか全然見当がつかなかったのである。
「ジップロック」なるものが、密閉容器の商品名であることを知らなかったからである。
そもそも、庵主はTVを見ないので、新商品の名前など知ることがないからである。
もっとも、普通名詞でステプラーと言われてもホチキスを思い浮かべることができないが。
「上善如水」、「雪中梅」、「加賀鳶」、「神亀」、「信濃錦」、「いづみ橋」とあったら、
どれを選んだら普通酒を買うことができるかが判るかということである。
普通の酒なのだから、米だけで造った酒をいうのだろうと思ったら大間違いなのである。
日本酒業界が言うところの「普通酒」とはアルコールをたっぷり混ぜた酒をいうのである。
呑み手の常識と、造り手の常識が正反対なのだ。
水を加え過ぎたカルピスとか、糖質をカットしたビールがうまくないように、アルコールで
薄めた純米酒がうまいわけがないのである。そういうお酒を「普通酒」と業界は呼ぶのだ。
そのうまくない筈なのにうまいのが「雪中梅」の普通酒である。技がなせる酒なのである。
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普通酒は安価な醸造アルコールを大量に混ぜることで製造原価を下げた「お求めやすい」値段
の酒である。当然味わいは二の次になることはいうまでもない。安い材料でいい酒は造れない。
視点を変えれば、原料の米を4割も5割も捨てて造る罰当たりな吟醸酒に対して、原料の米を
大切に使った「節約酒」だと言えないこともないのである。そんな事を言う人はいないけれど。