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「万齢」純米大吟醸 おりがらみ

佐賀の酒「万齢」(まんれい)である。
うまい酒だということは知っている。
そのお酒とまた出会ったのである。
だから呑まずにはおかれない。

ラベルには
杜氏小松大祐の名前が
目につく大きさでありながら、
かつ、さりげなく書かれている。

ついに自信の酒を造ったという矜持がうかがえる。
そして、
その矜持が控えめに過ぎるほどの
すごい酒だった。

何も足さない、何も引かない、
といううまい惹句(キャッチフレーズ)は
さすがサントリーと
庵主を唸らせるものがある。

黙ってこの酒を飲め。
小手先の技ではない酒のうまさがここにある。
という控えめな自負である。
わかる人ならわかるという絶対の自信である。

なんでもそうだが
酒もきちんと造ればいいものができるのである。
初めて日本酒を醸した蔵の若い後継者が
うまいお酒を造るということはよくあることである。

量をたくさん造ろうとしたり
原料の制約があると
どこかに無理が出てくるということである。
造り手に気合があればうまい酒はできるのである。

小松大祐杜氏も
蔵の若い後継者である。
休造していた蔵を再開してお酒を造り始めたのは平成10年のことである。
そのお酒がうまかった。

そしてこの「万齢」純米大吟醸である。
期待して口にして、あっ、と思った。
なんにもなかったからである。
大吟醸の風格ともいえるはったりの部分がないのである。

いうなれば自然体のお酒である。
すこしも気取ったところがない。
構えたところがない。
そして、深いところで庵主にうまいという感動をくすぐる茶目っ気がある。

感動という言葉を使うのは
ちょっと大げさに思えるかもしれないが、
スポーツのシーンで覚える直接的な感動とは違って
ここでは体の芯からじわーっと湧いてくる満足感のことである。

豊かな吟醸香があるわけではない。
一口含んで甘いと感じるわけではない。
一瞬そっけない味わいなのだが、
そのうまさの出し方が絶妙なのである。

先には「志太泉」の10BYの大吟醸に
庵主が求める理想のお酒を味わったところだが、
この「万齢」の純米大吟醸もその境地に遊べるいいお酒なのである。
お酒の道に究極はないようである。
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実は、この話にはどんでん返しがあります。明日の掲載分を必ずお読みください。
by munojiya | 2005-11-12 00:29 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya