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2016-02-02 昔の戦争映画

「放送禁止歌」というのがある。
ほんとうは、そういうものはなくて、放送局の自主規制なのだと聞いたことがある。
たとえば、高倉健の「網走番外地」がそれだという。
たとえば、加山雄三の「びっこの仔犬」である。

「金太の大冒険」もそうじゃないのか。いや、それは永六輔師がラジオで流していたか。
なぜ、放送しないのかという理由はご想像の通りである。
しかし、島倉千代子の「東京だよおっ母さん」がNHKでは放送禁止歌になっている理由は
判るだろうか。歌詞の中に靖国神社が出てくるからなのだという

昔、日露戦争を唄った「戦友」いう歌があった。これが軍によって放送禁止にされてしまった。
陰気臭いというのである。しかし、名曲である。ここで聴くことができる。しかも、背景の
映画は国産の戦争映画である。『この映像って本物?』(同米)とあるほどに力が
籠もっているのである。大蔵貢の面目躍如たるものがある。監督は早撮りの渡邉邦男だったか。

「戦友」は歌詞が14番まであるが、その動画では途中で切れている。そういう仕打ちも
放送禁止とでも言えばいいのか。
岩波書店が「紫禁城の黄昏」の肝心な部分を削除して刊行したようなものだから。
「戦友」を聞くとなぜか「飛良泉」を思い出すのは作詞者の名前からだった。真下飛泉。

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「明治天皇と日露大戦争」のダイジェスト版がある。
上手なものである。
映画は編集である。
NHKの「二〇三高地」はこれである

映画の画面は明るいのに、TVは暗い。制作費が足りなくなって色をつけられなかったのかな。
これ実際にテレビで観てて万歳のとこで感極まって涙流した。』(同前米)。
その昔「二百三高地」って映画があって、その中ではずっと第三軍の兵士が綺麗な軍服を
着ていた。[嘘衣装の極端な実例が南鮮の歴史ドラマの衣装だが、嘘を楽しむのが映画だから]

旅順攻防戦末期までずっとだぜ? その事になんか違和感を覚えてたんだけど、この作品では
見事に汚れまくった軍服を着用してる。凍った大地の表現と共に、そのリアルなディティール
に感心していたら……
』(同前米)。
これよりも映画203高地の方がはるかにクオリティ高いな

残虐な表現が全くないやん
なんなんこれ
日本を愛するなら真実を表現しろよ
』(同前米)。
映画の嘘とTVの嘘とでは、どっちの方が真実に近いかという事である。どっちも嘘なのだが。

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昔の日本の戦争映画はこうだったという。
東映映画「二百三高地」のレビューである。監督はだれでもいいが、脚本は笠原和夫である。
日本の戦争映画には変な癖があって、敵を憎らしく表現しないというのである。
日本兵の苦労ばかり描写するのが好きなのだと。なるほどの指摘である。

いぶし銀の名優ずらりで仲代達矢の乃木、丹波哲郎の児玉はもちろん、森繁久彌の伊藤博文、
三船さん(だったはず)の明治天皇など「気持ちが悪い」ほどイメージピッタリの配役。この
当時の日本の戦争映画は(プライベートライアン以外の)ハリウッドと違い「これでもか!」
といわんばかりに「味方」の一般兵卒も惨たらしくバタバタ殺されるシーンを繰り返す。

いまと比べて制作費、CG技術には全然プアーなのに迫力がある。ひいきめかも知れないが
一応自国が勝った戦争を描いたものでありながら他の国の戦争ものと比較して敵方の描き方の
中立性、全編に貫徹される哀調も充分な名作。しかも国家指導者から一般庶民にいたる幅の
広い視点から見た戦争を同時に描くという離れ業をやってのけている。

他の国では絶対こうは描かない。最後に夏目雅子が「美しい国日本、美しい国ロシ、、、、」
まで書きながら書ききれず崩れ落ちるシーンも秀逸。今日「男たちの大和」を見たがやはり
これには遥かに及ばない。あれから何十年たったんだ?がんばれ邦画。
』(典拠「邦画大作
史上最高(残念ながら))

by munojiya | 2016-02-02 08:20 | 余外篇 | Trackback | Comments(0)

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