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2016-05-05 映画「ちはやふる」の芸の細かさ

日活映画に、「拳銃は俺のパスポート」という殺し屋の映画がある。
日活映画だから、殺し屋といっても、荒唐無稽の話だが、宍戸錠が殺し屋を演じている。
この映画は、ある事で、日本映画史上画期的な映画とされているのである。
それまて日本映画がやったことのないことをやったというのである。

宍戸錠が、ゴルゴ13よろしく、ライフルでヤクザの親分を狙撃する場面がある。
向かいのマンション(当時はアパートか)から、一発で的〈ターゲット〉を仕留めるのである。
映画は、その時ライフルから飛び散った弾丸のカートリッジが床に落ちて転がる音をしっかり
捉えているのである。それまでは気にもされていなかったその音を拾った最初の映画なのだ。

「ちはやふる上の句」も、そういう細かい神経が行き届いている映画である。
そこでは何の音が聞こえるのかというと、読み終えた百人一首の読み札が重ねられる時に、
すでに積み重ねて置かれている札とそこに新しく重ねられる札が触れ合って発する、あたかも
衣擦れの音のような音が録られているのだ。繊細な映画なのだ。いや、繊細すぎるのである。

庵主は、この映画を見ながら、映画に触発される思いがあって、涙を禁じ得なかった。
庵主の好きな泣ける映画なのでツボにはまってしまったのである。
「ちはやふる下の句」の公開が始まって、「上の句」は午前中一回の上映になっていたが、
観終えたあとに、昼間っからうまいお酒を呑んでしまった。時にGW中だからいいだろう。

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「GW」は「うかれの週」とでも読んでほしい。
ちなみに「BM」は「ベビーメタル」である。
今、庵主はBMにも浮かれているのである。
まだ知らない人は、すぐに走れ。BMに、そして、「ちはやふる」をやっている劇場に。

「ちはやふる」は前後篇を一挙公開という方法なので、だらだらした話を二本にぶった切って、
二倍稼ごうという業界都合の映画なのだろうと思ってはいけないののだという。
前篇と後篇は主人公は同じでも別の意味の映画になっているという。後篇には松岡茉優が。
小泉徳宏監督の神経の細かさ細かさがそこにも窺えるのである、下の句も泣ければ嬉しいが。

by munojiya | 2016-05-05 00:03 | 余外篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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