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玉栄で精米歩合60%のお酒

うまいお酒があるよという話が耳に入ってくる。
庵主(あんしゅ)はちゃんと記憶しておくのである。
居酒屋で全然知らない隣の客がそういう話をしていたら
聞くとはなしに耳にしてしっかり覚えておく。

だいたい
庵主は一人で呑みに行くことが多いから
隣の話がよく聞こえてくるのである。
店を出たらすぐに手帳にその酒銘をひかえておく。

そうしないと
酔いがさめたら
さっき聞いたお酒の名前も忘れてしまうからである。
うまいお酒の話が呑み相手から出てきたときはその場で手帳を取りだす。

日頃からそのように心がけがいいと
思いがけないところでそのお酒と出会えるものなのである。
つくづく東京はお酒に恵まれている街だと思う。
今夜の出会いは滋賀のお酒「七本鎗」(しちほんやり)だった。

滋賀の酒が好きだ。
庵主と波長が合うからである。
滋賀のお酒は甘いという。
甘い酒が好きな庵主と気脈の通じるところがある。

まずは「喜楽長」(きらくちょう)である。
その「天保正一」が庵主の好きなお酒の一つである。
口にふくんだときの華やかさは
気分が沈んでるときでも俄然憂いを忘れるほどである。

そして「松の司」(まつのつかさ)である。
酒のうまさをじっくり味わえるお酒である。
どっしりしていてうまいお酒が呑みたくなったときには
「松」(「松の司」のこと)を呑むに限る。

「琵琶の長寿」もある。
庵主はこのお酒とはなぜかタイミングが合わなかったが
過日呑んだ「琵琶の長寿」がうまかったことで
見直したのである。

「琵琶の長寿」がうまくない酒ということではなく、
いいお酒なのになんとなく波長の合わないお酒があるということである。
福岡の「繁桝」がそうだったし、
愛媛のオオセトの「綾菊」も長くそういうお酒だったのである。

純米の「七本鎗」は
酒米が玉栄(たまさかえ)で精米歩合が60%の酒である。
じつはこの玉栄が庵主の密(ひそ)かな贔屓米なのである。
滋賀県の蔵元ではよく使われている米である。

山田錦、五百万石、美山錦に比べると地味な米であるが
これがいいのである。
どこがいいかというと、
時として大当たりするからである。

純米「七本鎗」の玉栄も大当たりだった。
精米歩合60%で酒がこんなにうまいのなら
酒は60%磨けばもうこれで十分だと納得させるだけのうまさがある。
下手な杜氏はそれ以下に磨いて米に頼って造ればいいと思ってしまう。

庵主は、精米歩合60%のお酒でうまいお酒を贔屓にしているから
まさにそれにぴったりのお酒に出会って気をよくしているのである。
玉栄の60%でうまいお酒に千葉の「岩の井」の「昭平庵」がある。
玉栄がどれもうまい酒ということはないが呑んでうれしいお酒とよく出会うのである。
by munojiya | 2005-12-08 22:24 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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