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2016-08-23 見てから観るか、観る前に見るか

原作のある映画を見る時に二つの観方がある。
読んでから観るか、
観てから読むかである。
映画は視覚芸術だが、小説は観念芸術だから、視覚は観念に敵わないのである。

敵わないから詰まらないかというとそうではなくて、視覚でしか味わえない面白さがある。
ただし、今時流行りのCGは邪道である。
蒸留酒である日本酒に、醸造アルコールを混ぜてお酒だといって売っているようなものである。
何がダメなのか。紛い物だからである。知ってて楽しんでいる時はいいのだけれど。

そんなものばかりに馴染んでいると虚しくなって来る。
本物と偽物ないし紛い物の違いは、その虚しさなのである。
わざと紛い物を選ぶことをキッチュという。
汚いものは美しいとする発想とおなじである。素人には付いていけないのである。

否、そんなものに付いて行ってはいけないのである。美意識が歪んでいるからである。
「シン・ゴジラ」にこういう映像があるのである。本篇を観る前には見ないほうがいい。
これ公開されてないシーンあるからどうやって映像入手したんだろう。』(同米)。
見事なダイジェストですね!』(同米。映画は編集〈つなぎ〉でここまで短くできるのだ。

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なぜ本篇を観る前にこの映像を見てはダメなのか。
本篇には出て来ない映像があるからである。それを期待して観に行くと肩すかしをくらう。
本編の編集とは、実は面白い部分を切ることなのである。
では、なぜ、おもしろい所を切るのか。

「万叢緑中紅一点」という。
面白い部分とは目立つ部分でもあるのだ。目立つ赤は切るのである。
長編映画は全体のトーンを統一しなければならないからである。
90分映画を見て、面白いのが1分だけだったら頭にくるでしょう。そういう事なのである。

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これは、知性が問われる設問である。
このシンゴジラは凄い。これまでの平成ゴジラ映画は一体なんだったんだ。この映画ならば
国際マーケットで十分通用する作品だと思う。私は米国製のゴジラよりも遥かに上だと思う。

(典拠米)。その意見に同意できるか、ということである。

面白かったけど世界で通用するかと言われたら微妙。
今作は日本人じゃなきゃ深いところがわからないと思う。
』(同前米)。
深いところが日本人で無ければ判らないという点で、庵主は世界的にはヒットしないと見る。
「シン・ゴジラ」は真情が日本人か否かを判別する際に使えそうである。その点では世界的だ。

もう一つの観る前に聴いてはいけない話がこれである
これを先に聴くと、「シン・ゴジラ」が分かった気になるからである。
この知識を知らずに観てからこれを聴くと、いかに自分がスクリーンに映っている映像は
見ているが、映画の面白さを殆ど見落としているという事が分かるのである。

世の中には「シン・ゴジラ」を見てもつまらなかったという人もいるのである。
しかし、春日太一はいう。
「シン・ゴジラ」は日本人の映画観賞能力を一気に上げてしまった映画だと。
そして、多くの日本人が「シン・ゴジラ」の面白さを理解でるというのは快哉である。

by munojiya | 2016-08-23 00:03 | 余外篇 | Trackback | Comments(0)

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