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めくるめく・至福の・感動

死ぬまでに一度しか使えない言葉がある。
そこまで言ったら大袈裟だとしても、
すくなくても同じ文章の中で二度使うことは恥ずかしくてできない言葉である。
それが、めくるめくであり、至福であり、感動である。

それをやると言葉の安売りになるからである。
いちばんおかしいのはベストテンといういい方である。 
ベストは最高という意味だから最高がいくつもあるというのは理に合わない。
最高の安売りである。

最高がいくらでもあるというのなら最高の価値が安くなる。
意味がなくなるといったほうがいいか。
映画の広告のように、感動、感動、感動、というのも感動の安売りである。
それでは本当の感動がなくなってしまうから意味がなくなるということである。

アメリカ映画の予告編を見るとその多くが
全米ナンバーワンヒットと看板に掲げるのはその手のナンバーワンなのだろう。
ナンバーワンがたくさんあるのだからそういうのをいいかげんという。
ベストテンはトップテンというのが正しいという。

彼は世界最高の学者の一人である、という言い方もあるが、
最高が何人もいるのかと疑問に思ってはいけない。
分野が違う最高権威が何人かいるということなのだろう。
あるいはそのクラスの大学者になると凡人にはその優劣がわからないということか。

もっとも女人(にょにん)と学者の嫉妬は度し難しというから、
学者の嫉妬からの反撃をうまくかわしているのかもしれない。
言葉の意味を大切にする人はうかつに最高という言葉を使わない。
同様に感動も至福もめくるめくも大切にとっておくのである。

それらは勝負服ならぬ勝負言葉だからである。
できれば一生に一度だけ決めたい言葉だからである。
それとあんまり簡単に感動したり至福を感じている人は
おめでたい人だと思われかねないからである。

庵主は
映画というのは他の芸術分野に比べて
傑作の出現率が異常に高い分野だとからかっているが、
手前味噌ながら日本酒に関しては至福の時間を味わえることが多い分野である。

食い物や飲み物の有利さによるものである。
お酒は心にもしみるが
体にもしっかりしみるからその錯覚度が高くなるというわけである。
感動とか、めくるめくといった状態は酔っぱらってる状態なのである。

一番めくるめくのは多分麻薬にしびれている時だと思う。
宗教ではよく大麻などが利用されていたという。
聖書の中に角が何本もあって足の数が多いへんな怪獣が出てくるのは
麻薬を吸引して引き起こされた幻覚によるものではないかと庵主は思っている。

しかし、麻薬はその後が怖い。
至福にひたれる見返りは
自分の体をぼろぼろにすることだからである。
しかも麻薬に親しんでいる体はくさいのである。

麻薬に比べて、あくまでも比較してであるが、
麻薬より体にやさしい酔いはお酒を呑むことによってもたらされる。
てっとり早く、しかも手軽に酔いが楽しめるということが
一度癖になるとお酒がやめられなくなる理由である。

絵画や音楽は、目だけ、耳だけの芸術である。
お酒は五感を揺するぶる芸術(いいお酒のことを思い浮かべている)である。
その極みはまさに、めくるめくような至福の感動を呼び起こしてくれるのである。
そういうお酒が現にあるということを庵主は知っているのである。うふふ。
by munojiya | 2006-02-03 23:37 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya