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庵主が呑んでいるのは酒ではなくて

庵主が酒を呑む人だと思っている人がいる。
たしかにお酒のことを書いているから、
酒呑みだと見えるのだろう。
しかし庵主の写真の師である森先生はよく見ている。

お酒が好きで呑んでいるようには思えない。
第一、量を呑まない。
それに酔おうとしない。
さらに能書きが多過ぎる。

そのとおりなのである。
酒を呑んでいるのではなくて
酒を肴に自分を語っているのである。
自己顕示欲の表現方法がたまたまお酒だったということである。

ただし、ほんとうにうまい酒を呑んでいる。
いいお酒を呑んでいる、ちょっとだけ。
いい呑み手と呑んでいる、いっぱい。
その幸せに恵まれていることはたしかである。

その幸せに感謝しているのである。
身の幸せを広言するのは
そうでない多くの人達に対して気が引けるから
この話はこれでおさめておこう。

美意識ということばが庵主は好きだ。
行動基準が美しいかそうでないかだからである。
物事の選択基準が美しいかどうかだからである。
もちろん美しいものが好きだ。

そのことはまた差別の淵源であることを知っている。
知っていてそれを恥じることはない。
それはまた人間が生きる原動力でもあるからである。
それを殺せば庵主も死んでしまうことがわかっているからである。

自分の命をつなぐことが生存の規則である。
かりに他人の命により高い価値があるとしても
選択を迫られたときは自分の命を優先するというのが
天から与えられた使命だからである。

その際の判断にためらいはない。
できればそんな判断を迫られる事態に立ち会いたくない。
立ち会わないですむ人生が幸せというのである。
直面しなければ恥をかかなくてすむからである。

お酒の、ここではもちろん日本酒のことであるが、
そのうまさが庵主の美意識をとらえたのである。
お酒の中に日本人の美を見いだしたのである。
これは人間の、いや日本人の技であると知ったのである。

心が通ったといっていい。
分かるのである、そのうまさの理由が。
体がそのうまさに納得するのである。
価値観を共有する楽しさなのである。

もちろん誰が造ったのか
庵主は知らない。
ただそこにその成果であるお酒が
あるだけである。

しかし、そのお酒には
日本人として理解できる
美意識が脈打っているのがわかる。
庵主はその美意識を呑んでいるのである。
by munojiya | 2005-05-03 21:34 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya