インドカレーと日本カレー
チーズがそうだった。
庵主はチーズというのは長く固形石鹸のような固いものと思っていたのである。
しかし、ナチュラルチーズといううまいチーズがあることを知って、
庵主はチーズが食べられるようになった。
日本製のレトルトカレーと東南アジアから輸入されたそれを食べ比べたことがある。
同じカレーの看板を掲げていても、両者はかなり異なるのである。
日本のカレーが素材をくるんで一緒くたにカレーにしてしまうのに対して、
輸入カレーは素材のうまさを際立たせるうまさなのである。
日本のカレーはカレーが主役で中身の具はなんでもいいが、
輸入カレーはチキンなりビーフなりの素材をきちんと引き立てる味わいなのである。
日本のカレーばかりたべていたら輸入カレーのうまさを知ることがなかった。
今日本酒がうまくないと思っている人はうまいお酒に出会っていないだけなのである。
うまいお酒に出会わないと、そのうまさを知らないで過ごしてしまうということである。
ただ不幸なことは、いったんうまいお酒を知ってしまうと
それまでうまいと思って呑んでいたものが物足りなくなってしまうということである。
さいわい今はうまいお酒が多いからまずい酒を避けて呑めるのがありがたいのである。