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佐々木久子(ささき・ひさこ)氏の訃報

佐々木久子氏が6月28日に亡くなったということを7月2日の新聞で知った。
4日間のタイムラグ(時間差)があるが、酒呑みで訃報が載ったのは初めてではないか。
酒呑みはその死が世に伝わるまで4日かかるから人の心にはその分長く生きていられる。
氏は、日本酒に一級酒、二級酒があったころの三増酒絶頂期の呑み手である。

庵主からいえば、酒呑みの先達(せんだつ)である。
当時は酒造会社の名前は、月桂冠だ、松竹梅だ、なんだかんだとよく知られていたが、
呑み手の名前はその酒をただ受けいれるだけの無名の人という構図になっていて、
今日のように呑み手がネットで酒を縦横に語ることができるという時代ではなかった。

酒の話といえばだれが流したのか「越乃寒梅」がうまいという噂を聞く程度だった。
あの反権力志向の三一書房がときの日本酒の主流派(三増酒)に反旗を翻すように、
今の日本酒なんかダメだ、これが本物の日本酒だ、インテリは本物の酒を呑め、
という新書をいくつか出していてそれぐらいしかお酒の情報はなかったのである。

庵主もインテリだからそのアジテーション(はったり)に乗ってしまったのである。
佐々木久子氏は酒の雑誌を出していたというが庵主はそれを手に取ったことはない。
毀誉褒貶を耳にするが、呑み手の主張を造り手にぶつけて忌憚ない発言を続けた
一人だったのだろう、また当時からお酒を嗜む女傑がいたという例証なのである。
by munojiya | 2008-07-13 10:32 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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