番外篇 未練
刀で言えば切れ味が悪くなったということである。
十六行で話が収まらなくなったのは多分老化現象が進んでいるからに違いないと
庵主はうすうす自覚しているのである、一行の文章も少しずつ長くなってきている。
年をとるとおしっこの切れが悪くなるというが、それは肉体的なものだが、
それと同じ現象が思考においても起こっているということなのだろう。
わざと読みにくい色の文字で綴られているはみ出し部分は、いうならば未練の部分である。
心残りといったほうがいいか、蛇足という言葉があることを今思い出したところである。
いうなれば見切りができなくなっているのである、判断力が鈍ってきたせいだろう。
それで、見る人には迷惑なのに、フィルムが切れない映画監督みたいになってきた。
実は、これらの文章は別に考えて書いているわけではないのである。
スタイルというのは便利なもので、キーボードを叩いていると勝手に出てくるのである。
手品師の石田天海師は手品を考えるときは道具を実際に手にしてやることだと言っている。
まさにそれと同じでキーボードを手にすると勝手に指が走るものなのである。
飲酒癖同様、それを慣れというか、惰性というか、手慰みというか、はともかく、
指を使うとボケの防止になるというから、このブログは惚け防止装置なのである。