番外篇 日本酒は「にほんしゅ」ではない
常用漢字には、漢字の使用制限と同時にその漢字の読み方にも制限があるという。
だから、その世界では日本酒は「にほんしゅ」と読めないのだという。
なぜなら。
日という漢字の読み方が「にち」「じつ」「ひ」とあって、「に」がないからである。
だから日本は「にほん」とは読めないのである、その世界の人達には。
「にっぽん」としか読んではいけないのである。
したがって、その人たちが呑んでいるのは「にっぽんしゅ」である。
庵主が呑めるお酒はすでに書いたように「にほんしゅ」である。
常用漢字の世界にいたのではうまいお酒は呑めないということである。
もっとも常用漢字は子供用と官庁の文書作成用の漢字制限みたいだから、
未成年者は飲酒が禁止されているので「にほんしゅ」がなくても問題はないが。
また官庁さんの方は、セッセと「にっぽんしゅ」を呑んでいるようである、大儀なことに。
パソコンではモト(酉に元)という漢字が出てこない、キき酒のキ(口に利)も出てこない。
今度は勺(しゃく・せき)が常用漢字から削除されるというから日本酒文化は大変である。
常用漢字には縛られない大人の教養がないとうまいお酒にたどりつけないのである。