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食べるとはどういうことか <水曜日は二本立>

お酒は、ガソリンではないと、学者である福岡伸一教授はいう。
食べたものは、いったん自分の体内に取り込まれるのだという。
食べ物の分子は自分の体の中の分子と入れ替わっていることがわかっているという。
車の中を通りすぎていくガソリンのようにただ体内を通過していくわけではないのである。

肉体は絶え間なく入れ替わっているのに、自分は変わらないということである。
中身は常に変わっているのに、表面的には変わらないことを動的平衡という。
中身は変わっているのに自分は変わらないという現象のことである。
そのことは、ジグソーパズルの一片の入れ替えが連続している様を想定するといいという。

食い物から取り込んだ分子と引換に自分が排出した分子は他の命の元になっている。
つまり命は個体で完結しているのではなく、他の命と繋がっているということなのである。
ということは、個体である一人の人間を殺しても、罪(宗教問題)ではあるが、
生命全体から見たときには悪(生命問題)ではないということなのである。

本当のことを知るということは、むごいのである、個人の存在なんかどうでもいいのだから。
自己否定につながるからである。
そんな辛さをしばし陶酔にひたって忘れる時間が、美術であり、お酒なのである。
それは自分という意識を無にして生命と直接つながる行為だから心をいやされるのである。
by munojiya | 2009-02-11 01:18 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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