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カテゴリ:能書きが必要な酒( 4 )
「奥の松」の全米吟醸
福島の「奥の松」が全米吟醸(ぜんまいぎんじょう)というお酒を発売しました。
純米吟醸ではなく、全米吟醸です。
これまでのお酒とは何が違うのかというと、
米焼酎を添加した吟醸酒であるというところです。

吟醸酒を造るときには通常はモラセスアルコール(廃糖蜜から造ったアルコール)などの
高精製された無色無臭のアルコールを使いますが、
それの代わりに自社で造った米焼酎を使ったのが「全米吟醸」です。
普通の吟醸酒より手間とお金が掛かっているお酒というわけです。

このお酒を「全米吟醸」と呼ぶことに落ち着いた経緯を聞くと波瀾万丈です。
新しいお酒にラベル一つにも税務署からいろいろな指導があったといいます。
添加したアルコールが自社で造った米焼酎なのだから、すべて米から造ったお酒なので純米酒と称していいかというとそうはいきませんでした。

純米酒というのは米だけで造ったお酒をいうのではありません。
原料がすべて米だけであっても、屑米などで造ったものは純米酒と呼ばない
といった定義があるからです。
その定義に外れたものは純米酒と表示することができません。

米焼酎を使った「奥の松」の吟醸酒は100%米だけで造ったお酒だとはいえ
純米吟醸酒といえないのは現在の純米酒の定義の枠に納まらない製法だったからです。
米焼酎とはいえアルコールを添加したということで本醸造の吟醸酒とされるからです。
そこで新製法のお酒に蔵元の主張をこめて付けた名称が「全米吟醸」でした。

モラセスアルコールを添加したお酒に比べて香りに深みがあります。
あるような気がします。品のいい香りがします。これは確かです。
しかし口にふくむとその香りはすうーっと切れてさっぱりした味わいになります。
食中酒として料理の味をじゃましないお酒だと思いました。

ということは、それだけで呑むには庵主には物足りないお酒だということです。
このお酒の魅力は実はその値段の安さにあります。
手間をかけて造ったお酒なのに四合瓶で1040円(税別)という設定には、
うまいお酒を気持ちよく飲んでほしいという意気込みが現れています。

「奥の松」は1万5千石を醸すといいます。今はそれより少ないとは言っていましたが。
その生産量は全国の1400余蔵中でも上から数えて50位以内に入る蔵です。
「奥の松」は量を造りながらも、うまい酒を造ることに意欲的です。
そのお酒は、うまくて、しかも安い酒でなければならないといいます。

12トン仕込みの大タンクを使っているというのも
うまいお酒を安く造るための手法だといいます。
大規模な酒造りだから酒の味が大味になるというものではなく、
きちんと造れば十分にうまくてしかも安くお酒を造れるという利点を強調していました。

全米吟醸は、日本酒の一つの提案として味わってみるといいと思います。
精米歩合60%で、アルコール度数は15度に調整してありましたが、
その原酒か、生酒を味わってみたくなりました。
庵主は15度のお酒はなんとなく水っぽく感じるものですから。
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by munojiya | 2005-04-10 22:58 | 能書きが必要な酒 | Trackback(1) | Comments(0)
泡盛はうまいか
 泡盛という焼酎があります。沖縄で造られているタイ米を原料とする焼酎です。独特の味わいがあります。その独特が問題なのです。独特ということはクセがあるということです。
 庵主は飲めません。そのにおいがいまでもなじめません。

 庵主は、かつては食べることのできないものも結構ありましたが、いまはやっと好き嫌いがなくなってきました。とある二つの食べ物を除いてですが。
 歳をとって神経が図太くなったというのか、歳とともに味覚が変わってきたというべきか、これまで口にしたくなかったものがなんとか食べられるようになったということです。 
 長生きすると味覚も変わってきます。これだけは早死にした人には絶対経験できないことです。長生きのご褒美といっていいでしょう。

 よくいい歳をした大人でピーマンがダメとか人参がダメというのを聞くとなんとなく哀れをもよおしますが、中には鶏肉がダメとかスイカのにおいがダメとかいうことはよくあることですから、そこまで立ち入ることはないのだと思います。が、それでもやっぱりそういうのを聞くといい歳をしてみっともないと庵主は思ってしまいます。これは個人的な感想ですが。

 また、牛乳は飲めないという人に牛乳を勧めるのはいらぬお節介というものです。牛乳は大人にはたいして栄養にならないということがわかっているからです。常識で考えても、子牛のための乳を人間が飲んでも体に合うわけがないとは思いませんか。牛乳を飲みたくないという人は飲む必要がないのです。
 人間の子どもなら母乳で育てるのが当たり前なのですが、乳業業者の戦略のせいか、牛乳は体にいいという信仰がばらまかれています。そういうことに疑問を感じないほどに、そういう迷信が跋扈しているのです。
 
 だから からだ が拒む食品を無理に食うことはないと庵主は思っています。
 とりわけ酒のにおいは最初はクセがあるだけに好き嫌いが発生しやすい食品です。
 それまで酒を飲んでいなかった人に芋焼酎を呑ませたら、多分そのにおいに拒絶反応をおこすはずです。庵主がそうでしたから。
 庵主は芋焼酎になじんでからも、泡盛は呑めませんでした。

 渋谷に沖縄物産を販売する「わしたショップ」があります。
 そのお店の泡盛コーナーには数多くの泡盛がそろっています。
 その一角で、島歌を歌う男と女のデュオ(二人組)「寿」(ことぶき)のミニコンサートが行なわれました。
 庵主は「寿」の評判を聞きつけて見に行きました。
 
 コンサートが始まるまえに泡盛の試飲をさせてくれました。「瑞泉」の長期熟成酒です。試飲洋の小さい紙コップに氷を掬って泡盛をとく、とく、とく、と少量そそいでくれます。
 紙コップのにおいはかなり強烈なのですが、泡盛はそれを上回るほどに強烈なにおいがありますから紙コップのにおいが気になりません。
 泡盛のにおい、やっぱり庵主には苦手です。でも酒の質が高いことはわかりました。これはいい酒です。いい酒には気品が感じられます。

 コンサートが始まると、こんどは春季限定のオリオンビール「いちばん桜」まで試飲させてくれました。
 すっかりいい気分になって最後は唄を聞いている人達とカチャーシをやってしまいました。
 「わしたショップ」は泡盛が好きな人にはそこに並んでいるいろいろな銘柄を見ているだけでも楽しくなってくるお店です。
 庵主が初めて目にする銘柄が棚いっぱいにいくつも並んでいましたが、さすがに「泡波」だけはありませんでした。
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by munojiya | 2005-03-29 23:36 | 能書きが必要な酒 | Trackback(1) | Comments(0)
まぜて飲んだほうがうまい酒
 カクテルという酒の飲み方があります。ちがう酒をいくつか混ぜて飲むという飲み方です。
 単独で飲むよりもそのほうがうまいという理由からです。アルコール度数が高い酒をそのまま飲んだのでは飲みにくいという理由もあると思います。

 日本酒を使ったカクテルもあることはあるのですが、まっとうな日本酒は単独で呑んでも十分にうまいから、日本酒のカクテルというのは人気がありません。
 庵主に呑ませるとそれは邪道といっていい代物です。人気がない理由がわかります。洋酒の飲み方を真似てみてもかえってまずくなるだけだからです。
 
 これは聞いた話ですが、日本酒のカクテルで唯一酒がうまくなりそうなのは、まずい日本酒に一滴のゆず果汁をたらすという呑み方だそうです。アルコールの薄っぺらな感じが丸くなり、惚けた酸味がキリリとしまってうまくなるといいます。
 その時の柚子果汁は銘柄指定があって、柚子100%の本物でなくてはなりません。「樹齢100余年産天然果汁」で「土佐産」の「手しぼり」の「枯木ゆず」というゆず果汁がいちばんいいのだそうです。 
 一度ためしてみたいと思っています。

 銀河高原ビールが白ビールと黒ビールを混ぜて飲もうという車内吊り広告を見たのですが、肝心のその商品が売ってないのです。
 ふつう広告というのは、店頭に商品を並べておいてから打つものだと思いますが、激戦区のビールの広告で、しかも弱小の銀河高原ビールの商品ですから、そこいらのお店に置いてあるわけがありません。

 ところが、庵主の庵の近くにあるスーパーマーケットがどういうわけか銀河高原ビールを扱っていて、最近になってようやくその白と黒のビールが入荷しました。
 一つは「ホワイト ショット ビール」と書かれた「ホワイトビール」です。もう一つが「ブラック ショット ビール」と書かれた「スタウトビール」です。いずれも160ミリリットル入りの小振りの缶にはいっています。
 この二つのビールを好みで混ぜて飲むのがうまいというのが宣伝文句でした。

 まず単独で飲んでみました。
 白ビールは「ホワイトビールのフルーティーさに爽やかなドライ感が加わった新テイスト」とありますが、それほどうまくはありません。ヒューガルデンの白ビールのうまさに一日の長があります。
 黒ビールのほうは芳醇です。これはうまい。「ローストした麦芽の苦みと甘いカラメルフレーバーの奥深い味わい」と書かれているとおりのいいビールです。
 そして単独では飲むまでもない白ビールと黒ビールを混ぜると、俄然白ビールのうまさが立ち上がってきて飲めてしまいます。黒ピールはたっぷり濃厚なので多少白ビールをまぜてもびくともしません。単独で飲んだときとは違う味わいが楽しめます。

 カクテルの妙を体験できるビールです。
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by munojiya | 2005-03-28 23:48 | 能書きが必要な酒 | Trackback | Comments(0)
芋焼酎を呑む夜
 花粉症の季節である。庵主もベテランの花粉症患者である。薬をのむ趣味がないのと、どうせ5月の連休が明けるころには症状が治まるのが分かっているから、たいして花粉症対策というのをしていない。安いテッシュペーパーを多めに買いこんでくることだけである。

 この時分は庵主にとっては日本酒が呑めない時期である。鼻が詰まっているときはにおいが嗅げないから酒の味がわからない。鼻が通っている時間も喉が痛んでいるから、せっかくのお酒のうまさが喉で味わえない。喉がおさまっているときでも目が痒いからおちおちお酒を呑んでいられないのである。

 健康なときはしっかり味わえるお酒の味がこの季節には中途半端にしか楽しめないから呑んでもおもしろくないのである。だから、進んでお酒を呑むことはない。
 そういうわけで、いまは日本酒を呑んでもおもしろくないから、焼酎を呑んでみることにした。

 庵主は焼酎を呑んでもうまいと思うことがほとんどない。いい酒だなと感じる場合もあるを呑んでもうまいという感興がわいてこないのである。日本酒の滲み出てくるうまさに比べたら、焼酎はただアルコール度数のはったりがきいている酒とか思えないのである。
 日本酒のうまさが繊細だとすると、焼酎のうまさは豪快といったところだろう。

 神泉(しんせん)に落ち着ける焼酎バーがあるという。神泉は渋谷から井の頭線で一つ目の駅である。
 雰囲気がいいお店だということなので出かけてみた。
 雨が降っている。雨の日は花粉が穏やかだということで庵主の外出日なのである。

 庵主には不案内の駅である。駅に降りたが道が入り組んでいる。頭の中にたたきこんだ地図と実際に現地に立ったときの感覚が一致しないのである。
 道を間違えてぜんせん違う通りにでてしまった。いったん駅に戻って最初から出直してやっとそのお店にたどりつくことができた。

 評判どおり静かないいお店だった。
 酒祭り(「むの字屋」用語で酒のメニューのこと)を見ると、呑み手の期待を裏切らない銘柄が並んでいる。これが呑みたかったという銘柄もある。
 じっくり酒祭りを楽しんだ。選ばれた一つひとつの銘柄が想像を高めてくれる。しばし酒祭りの中に遊んでしまった。見応えのある酒祭りなのである。

 庵主が選んだのは芋焼酎の「六代目百合」である。35度と25度が出ていたが、35度を頼んだら今は入荷待ちということで25度を呑むことにした。
 マスターが「百合」のパンフレットがあるといって見せてくれた。六代目塩田将史がおばあちゃんの造った麹を使って常圧で蒸留した芋焼酎とある。

 焼酎は家業でやっている小規模の蔵元が多い。生産量が少ないからそれがうまいという評判が立つと奪い合いになるのである。
 量が少ないのなら、地元ではけるのだから放っておけばいいものを、酒販店なり雑誌の特集なりで世に知られていない銘柄を知っているのが商売とばかりにこれはうまい焼酎だと紹介するものだから庵主などはほんとにうまいのかなとつい気になるのである。

 庵主は酒を直接蔵元に注文するとか、ネットオークションで買うということはしない。そこまでして酒を呑むことはないと思っているからである。また酒販店や居酒屋に行けばすぐ買えるのに手間暇をかけて求めるというのが面倒くさいからである。手に入らない酒を追いかけるほど執念がないのである。
 そして、不思議なことに、呑みたいと思っているとそのお酒がなぜか向こうの方からやってくるようになったからである。

 今夜の「六代目百合」もそうだった。ここで呑めるとは思わなかったのにちゃんと酒祭りに載っているのである。呑む酒はためらわずそれである。
 ストレートで呑む。水をたっぷりもらう。グラスの量は110ミリリットルである。25度の酒だからアルコール量は27.5ミリリットルである。日本酒換算(17度として)で160ミリリットルである。それ一杯で庵主の限界に近い。

 [百合」は芋焼酎である。ていねいに造られている酒であることはわかる。しかしそれのどこがうまいのかやっぱり庵主にはわからない。
 香りを味わってみる。器用な人は、その香りの中に洋梨とかなんとかベリーやナッツの香りとかを感じるのだろうが、庵主にそんな趣味はない。全体の味がうまいかどうかである。味の中にほんのり塩みを感じた。
 要するに庵主の味覚には焼酎の基準となる味がないということなのである。
 とりあえず、「六代目百合」は呑んだという足跡だけを残してきたのである。

 「万暦」(ばんれき)があった。44度である。
 25度の焼酎は、日本酒に比べると相当アルコール度数が高いが、庵主にはなんとなく水っぽく感じる。ちょうど15度前後の日本酒を呑んだときに水っぽく感じるのと同じである。やはり日本酒なら17~18度ぐらい、焼酎なら45度ぐらいの度数がうまいと感じるのである。いずれもそのまま呑んだのでは体にはよくない度数ではあるが。
 「万暦」で締めることにした。

 「万暦」は冷凍庫にはいっていた。しかし凍ってはいない。ショットグラスに注がれる「万暦」はとろーりといった感じをたたえている。40ミリリットルのショットグラスがすぐ曇る。
 焼酎もこれはすごいと感じる。うまいとは思わないが、呑んだときの第一印象がすごいの一言である。ただし、いまは花粉症で少々舌が荒れているせいか、度数が高いせいもあるが刺激がかなり強い。一口を含んで香りを楽しみ舌にのせたときの感触をたしかめて呑み込んだらすかさず水をたっぷり飲み込んだ。

 十分な焼酎だった。 
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by munojiya | 2005-03-23 23:48 | 能書きが必要な酒 | Trackback | Comments(0)