日常生活とは殺さない生活のこと
べつに殺していけない理由なんかないのである。
ことさら生きている理由がないようにである。
いくらでも代わりがあるからである。
ただ折角生まれてきたものを無下にするのは勿体ないということだけである。
目の前にうまいお酒があるのに呑まないのは勿体ないのと同じである。
勿体ないというのは存在するものが有効に使われていないことをいう。
だから食い物を捨てるのは勿体ないのである。食い物は捨てるものではないからである。
不味いお酒を勿体ないお酒と庵主がいうのは、本来お酒は不味いものではないからである。
本当ならばうまいと言われて呑まれるお酒がそうでないのだから勿体ないのである。
庵主が、「うまいからお酒、そうでないアルコール飲料はお避け」という理由である。
日常生活とは殺さない生活のことをいう。不味い酒はその思いを殺して呑む酒なのである。
人を殺す生活は非日常なのである。それを異常ともいい、変態ということもある。
戦争がよくないのは非日常だからであって、人を殺すからではない。散らかるからでもある。
非日常を、多くの人は好まないということなのである。中にはそうでない人もいるが。
庵主のように、数有る酒の中でもうまい酒しか呑まないという人がいるように、である。
-----
ちなみに「戦争はいけません。散らかるから」と言ったのは三波春夫である。