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10-02-04 うまいお酒はお酒じゃない

かつての吟醸酒はその香りを出すのに苦労していた。
しかし、今の吟醸酒は逆である。
その香りを押さえるのに苦労しているのである。
酵母が改良されて、そういう酵母を使うとやたらと香りが出てしまうからである。

なぜ香りを押さえるのかというと、   
香りを効かせたままだとお酒の表情がつぶれてしまうからである。
デーモン閣下のべた塗りの真っ白い顔みたいに地顔が分からなくなるからである。
そんな仮面をかぶったようなお酒なんか呑んでも面白くないからである。

一様だといういうことは見た目は美しいかもしれないが、実はつまらないということである。
日本人は木目柄が好きだという。
一方、アメリカ人などは家具をペンキで一様に塗りたくってしまう。
日本人の感覚と西洋人の感覚の違いである。割り切れる美と割り切れない美の違いか。

木目柄というのは一様の美しさの逆で、乱れのあるところに美があるという感覚である。
日本人は乱れの中に美を感じるのである。つまり美しくない部分が美しいということである。
酔って、いや、依って、お酒もまたうまいお酒というのは美しくないお酒なのである。
本物のお酒とは、本当に美しいお酒というのは、けっしてうまいお酒をいうのではないのである。
by munojiya | 2010-02-04 00:57 | 酩酊篇 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


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