2010-05-19 純米酒とアル添酒、どっちがうまいか
米だけで造ったお酒か、それにアルコールを混ぜたお酒か、の違いである。
そう聞くと、本来のお酒である純米酒の方がうまそうに感じるのである。
アル添酒は、なんとなくいかがわしいので紛い物のように思えるからである。
では、純米酒とアル添酒は、どちらがうまいのか。
結論を先にいうと、どっちがうまいとはいえないということである。
まずい純米酒はいくらでもあるし、品のいいお酒はアル添であることが少なくない。
ただし、ここで庵主が想定しているアル添酒とは本醸造酒のことである。
アルコールを添加したお酒には実は3種類あるということである。
一つは本醸造酒、二つは普通酒、三つは通称「三増酒」(脚注参照)である。
「三増酒」と括弧書きにしているのは、そういうお酒は現在は流通していないからである。
アルコールの添加量が常軌を逸して多いお酒をここでは慣例的に「三増酒」と書いている。
本醸造酒にはアルコールの添加量は原料米(白米)の重量の10%以下という縛りがある。
普通酒になると添加量がそれより多くなる。「三増酒」はさらに多くなる。
普通酒でも添加した醸造アルコールの味を感じることがある。まして「三増酒」になると。
後二者は手っとり早く酔っぱらうためにはいいが、味わって呑むには面白くないお酒である。
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(注) 本文で「三増酒〈さんぞうしゅ〉」といっているお酒は、現在は流通していません。
三増酒とは一升瓶の中身の3分の1が清酒、3分の2がアルコールという擬制日本酒のこと。
今それに相当する酒を造った場合は、現行の酒税法ではリキュールとして販売されます。
わざわざ探してまで飲む酒ではありません。醸造アルコールだけ飲んだほうがうまいから。
まったくその通りです。
「三増酒」という言葉は現在では不適切でした。
それで、さっそく本文を少し手直ししておきました。
「三増酒」とは慣例的な用語として使いましたと直しました。
過去のお酒の流れを知らない人にはそれでは何をいっているのか分からないかもしれませんが。
三増酒というのは、お酒にアルコールを混ぜて三倍に水増しした、おっとアルコール増ししたお酒のことです。日本酒というよりも、焼酎に近いお酒のことです。
いまはそんな粗悪な「日本酒」は造られていません。
なぜそんな粗悪なお酒が造られたかというと、戦後の原料米不足をしのぐためでしたが、一時は(というよりもその後長く)悪貨が良貨を駆逐する勢いがありました。
◆以下に続きます。書き込みが120字を越えたので文章を分割しました。◆
が、造り手も呑み手も、阿吽の呼吸でそのことは見て見ない振りをしているというわけです。
本醸造酒を呑んでもアル添かどうか判別できないことが多いので、騙されても分からないからです。またうまいお酒のアル添をなじっても意味がないからです。アル添は日本酒造りの進化だといえないこともないからです。つまり日本酒の新しい世界を開いたというわけです。
「名誉白人」という言葉がありました。
「本醸造酒」は、「名誉清酒」ということにしておきましょう。
最後になりましたが、通りすがり様のご指摘にお礼申し上げます。
また、いろいろ教えていだけると幸甚です。