2010-06-25 淡麗辛口(前編)
それまでの日本酒の味わいを越える画期的な味わいだったからである。
現在のお酒の味わいもその延長線上にあるといっていい。
その傾向がさらに洗練されて、その味わいの幅が広がっているのである。
知らずに呑んだらどれも似たようなお酒に思えるが、
しかし、いったんその違いを知ったら現在のお酒ほど面白いものはない。
うまいお酒が目白押しだからである。知るということは、面白いこと、うまいことである。
一昔、いや二昔前ならうまいお酒を探すのが大変だったが、今は逆である。
うまいお酒が多すぎて、どれを外すかで悩むのである。
呑みたいお酒は多いが、とても全部は呑みきれないからである。
淡麗辛口がもてはやされたのは、その頃のお酒が三増酒だったからである。
三増酒というのはアル添で増量したお酒である。
そのままでは味が頼りないので、糖類(水飴等)や酸味料や調味料(味の素等)を加える。
三増酒全盛のときに新潟の「越乃寒梅」が三増造りに縛られないお酒を醸したのである。
そのお酒が評判になった。べたべたに甘くない、のどごしがいい、さらりとしたお酒だった。
それで人気が出て、「越乃寒梅」は入手困難となって幻の酒と呼ばれるようなったのである。