2010-08-08 貴様はキサマ
今日では相手を見下して馬鹿にするときに使う言葉になっている。
庵主〈あんしゅ〉の自称である「庵主」も、
一般的には「あんじゅ」と読んで尼僧を思い浮かべる言葉であるが、庵主は男である。
酒庵〈しゅあん〉「むの字屋」の庵主〈いおりぬし〉だから「あんしゅ」なのだが、
できれば「あんじゅ」と誤読される言葉でないものを使いたかったものの思いつかなかった。
「屋主〈やしゅ〉」と呼ぶのも野趣が強すぎて今すこし品がない。屋台の主みたいである。
亭主という言葉もあるが、これも今では夫をばかにするときに使われることが多い。
ぐうたら亭主、である。本来なら、酒亭、料亭の主〈あるじ〉なのに。
インテリは自分のことを小生ということが多い。
それに準〈なぞら〉えて、酔生〈すいせい〉というのもありそうだが、
彗星のようにすぐ消えていくような頼りなさがあってよくない。
戯言〈たわごと〉を口にする酔っぱらいの自称にふさわしい言葉はないものか。
酔生夢死というから、夢生〈むしょう〉という造語も悪くはないか。
しかし、それを「むせい」と読んで変換すると別の言葉が出てくるので語感に難がある。
酔っぱらって気持ちよくなるのと悦楽の気分では似たようなものかもしれないが。