2010-02-02 旨い酒を呑む
『米を作って、旨い酒を呑む。
わが郷は、本日 収穫祭の本祭りである。
米の豊饒に感謝して、神に奉(まつ)ろうて、楽しむ。』出処
ところが、多くの日本人はうまいお酒を呑んだことがないのである。
お酒なら、酒屋に行けばいっぱい酒瓶が並んでいるではないか。
しかし、その多くはアル添酒なのである。
それは半分冗談で造っているお酒なのである。おちゃらけの「おちゃけ」である。
中には本気で造っているアル添酒もあるが、その多くは大量生産された徴税酒なのである。
そういう酒をいくら呑んでもうまいと唸るお酒には出合えない。贅はうまいが、税を呑んでも。
お酒のうまさとは造り手の気合を感じることの快感をいうからである。
共感することの気持ちよさなのである。それが感じられるお酒を悦楽と呼ぶ。
真っ当なお酒とは呑み手に媚びていないお酒である。人手を感じさせない無心の酒である。
ひたすら神にささげるお酒なのである。杜氏はお酒を造るのではない醪を育むだけである。
そうしてできた奇跡の一滴をうまいお酒という。僣越ながらありがたく頂戴するのである。
仕事とは神に捧げる行為をいう。その報酬は有り余るのである。勿体ない。うまいのである。