人気ブログランキング | 話題のタグを見る

原酒

日本酒の原酒である。
原酒とあるとウイスキーのモルトを思い浮かべて、
いかにもうまそうなお酒にちがいないと思ってしまうが、
しかし、日本酒の原酒の定義はそうはいかないのである。

日本酒の原酒というのは
醪に加水しないお酒のことをいう。
醪に水を混ぜていないのだから、
まさにお酒そのものではないか、と思ってはいけない。

その醪にアルコールを添加してあっても
それに加水しなければ
原酒と表示していいとなっているからである。
すなわち原酒イコール純米酒ということではないのである。

加水というのは
醪を搾ったお酒に
水を混ぜてアルコール度数を落すことである。
なぜ水を加えるのか。

もっともらしい説明は
お酒を呑みやすくするためである。
純米酒の原酒でいえば、
アルコール度数が17度~20度ぐらい出るのである。

そのままではちょっと度数が高くて呑みにくい。
と、蔵元は説明する。
それもたしかに一理あるが、
庵主はその意見には与しない。

なぜなら
量を呑まない酒呑みだからである。
その場合、すなわち庵主の場合、
アルコール度数は17度以上あるお酒でないとうまいと感じないからである。

アルコール度数が高いということは
それだけでもうまいと感じる要素だということなのである。
たくさん呑んだら質の低いお酒は
やっぱりうまいお酒ではなかったとばれてしまう。

ところが、
アルコール度数を高めにしておくと
一口だけ呑んだ時にはそれだけでうまいと感じてしまうのである。
庵主は量を呑まないからそれはうまいお酒なのである。

呑みやすさを求めて
15度台に薄めたお酒は
呑んでいて
なんとなくたよりない感じがする。

いいお酒であっても
なんとなく弱い感じがする。
庵主にとっては呑んでいて物足りなく感じるのである。
ところでアルコール度数を下げることには別の目的があるのである。

税金を安くすることで
売価を下げるという目的である。
日本酒の酒税はアルコール度数15%~16%未満のとき
1,000リットルにつき140,500円である。

度数を1度下げると
1000リットルにつき9750円安くなるという仕組みになっている。
2リットル入りの紙パック酒が異常に安いとよく見たら、
そのお酒は13度~14度未満となっていたのである。

-----

2006年から、清酒の税率はアルコール度数に関係なく一律に課税されるようになった。
税率はアルコール分が22度未満の時、1キロ・リットル当たり120,000円である。
一升につき216円になる。
したがって、現在は酒税を低減するために度数を調整する意味はなくなっている。

by munojiya | 2005-07-21 23:17 | Trackback | Comments(0)

うまいお酒があります その楽しみを語ります


by munojiya